5月18日(土)、19日(日)に東京ミッドタウン(東京・港区)にて開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2019」。働く女性が知りたい、旬の情報が目白押しのセッションの中から、自分と新しい命のために知っておきたい『働く女性のための妊活セミナー』の模様をリポートします。後編では、ena AMICE代表/日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんによるトークセッションの様子をお届けします。

セミナー前半の記事はこちら→ [PR]産婦人科院長に聞いた 妊娠チャンスの増やし方

左から産科婦人科舘出張佐藤病院院長の佐藤雄一さん、蛯原英里さん、ロート製薬の宮下侑子さん、第一三共ヘルスケアの和平弘樹さん

2児の母の蛯原さん、初めての妊娠で流産を経験

 基調講演の後のトークセッションでは、ena AMICE代表/日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんをお迎えし、日経BP総研の黒住紗織さんが聞き手としてお話を伺いました。

黒住さん(以下、黒住) 蛯原さんはとってもキラキラしたお母さん、という印象ですが、2人お子さんがいらっしゃるんですよね。

蛯原さん(以下、蛯原) 私は今、39歳なのですが、4歳になる長女と0歳8カ月の長男がいます。

黒住 今、ちょうどバリバリの子育て中ですね。蛯原さんはベビーマッサージのお仕事をされているということですが、具体的にはどんなことをされているんですか?

蛯原 協会を立ち上げて、今は少人数制でレッスンをしたり、地方に呼んでいただいてレッスンをしたりしています。出産前まで一生懸命働いていた女性が多いので、赤ちゃんとの接し方が分からない、という方に向けてコミュニケーションツールとしてのベビーマッサージをレクチャーしています。

黒住 赤ちゃんとお母さんのコミュニケーションがよくなると、お互いの信頼関係も高めることができそう。素敵なお仕事ですね。ところで今まで知らなかったのですが、蛯原さんは実は流産された経験があるそうですね。お話をお伺いしてもいいでしょうか。

蛯原 はい。アパレルの仕事をしていた32歳の時に1回目の妊娠をしました。当時は土日の休みもなく、3食、コンビニのお弁当を食べて寝るだけの生活で、夫との会話もあまりなく、ゆとりもありませんでした。しかし以前、看護師の時にNICU(新生児集中治療室)に勤めていたこともあって、多少の知識もあったので、これからハッピーな生活が始まるんだ、とワクワクしていたんです。産婦人科で一度診てもらって1週間たってからまた受診したところ、先生に「小さいね」と言われたんです。私自身が双子で、1800gと小さく生まれていたのであまり気にしていなかったのですが。でも、さらに1週間後、やはり大きくなっていなくて心拍も確認できないと言われ……。稽留流産と診断されたのです。

黒住 それはつらかったですね。

蛯原 妊娠したら赤ちゃんは育つのが当たり前だと思っていたので、ショックで涙が出てしまって、職場でもつらくて震えていました。かなり長い間、落ち込んでしまいましたし、自分のせいなんじゃないか、と泣いていました。もっと仕事をセーブしておけばよかったのかも、と後悔もしました。

黒住 どうやって気持ちを整理したのですか。

蛯原 泣くだけでは気持ちが整理できなかったので、自分の気持ちをすべてノートに書きました。思いついたことは、すべて書き出しました。泣いて、書いて、を繰り返したら、いつしか気持ちもスッキリしてきました。

黒住 その流産のご経験があってから、今の仕事に出合ったのですか?

蛯原 はい、その時期に「もう一度自分を見直したい」と思ったんです。そんな時、何気なく訪れた本屋でベビーマッサージの本に出合ったのですが、内容にすごく引き込まれて、何冊か買ったんです。その本で、ベビーマッサージがNICUで働いていた看護師さんのタッチケアから生まれたことを知り、運命を感じました。パパとママが赤ちゃんへのふれあいケアをすることが、赤ちゃんの情緒安定にもつながることを伝えていきたいなと強く思ったんです。それから会社を辞めて、資格を取得して、ベビーマッサージを知ってから約1年後、講師として働き始めました。

仕事で忙しいと、「妊活しよう」という気持ちが後回しに

黒住 どのようにして、もう一度、妊活をしようという気持ちに切り替えたのですか?

蛯原 妊活を始めようと思うんですが、やっぱりつらい経験があったから、怖いという気持ちがありました。なかなか踏み切れない。仕事も変わったし、これが軌道に乗るまでは……と思って働いていました。そんなある時、知り合いの女性社長から「いつ子どもを産もうと思ってる?」って聞かれたんです。「この仕事が落ち着いてから」と答えたら、彼女は「仕事が落ち着くことなんて、いつまでたってもないわよ」というんです。「本気で子どもが欲しいなら今じゃない?」と。同じころに、別の子どもを持つ女性からも、同じようなことをいわれて、「これはもう、先延ばししたり、怖がっていてはいけないな」と。

黒住 今行動しないと、と思ったんですね。私もそうだったのですが、仕事をしているとつい「まだ、妊娠の決断をしなくても大丈夫」と思って後回しにしてしまうんですよね。ちなみに、蛯原さんにはもう1つ、背中を押してくれる出来事があったそうですが?

蛯原 何の知らせもなく母から突然、DVDが送られてきたんです。私と姉の友里にも(笑)。内容はNHKの「卵子の老化」特集で、DVDには「大切な娘たちへ」と書かれていました。今まで面と向かってそんな話はしたことがなかったけれど、タイムリミットのことも含め、母はいろいろ考えていてくれたのだと思いました。

黒住 お母様が最後に背中を押してくださったのですね。では、妊活を始めるにあたって、生活で変えたことはありますか?

蛯原 私はやると決めたらすぐ実行に移すタイプなんですけど、まずは葉酸サプリを飲んで、アマニ油でオメガ3を毎朝スプーン1杯とりました。

黒住 さすが健康に関する知識をお持ちですね。オメガ3は魚の油ですが、赤ちゃんの知育にも、お母さんの炎症を抑えるのにも役立ちます。葉酸は妊娠をする前からサプリでとっておくことで、赤ちゃんの先天性障害のリスクを減らすことが分かっている成分ですね。

蛯原 あとは心と体をリセットして、一度、たまった悪いものを出してしまいたい気分だったので、6日間の断食をしました。スニーカーを持って通勤し、基礎代謝を上げるため家から遠い駅で降りて1時間くらいウォーキングもしていました。それと、風疹の抗体チェックも。

黒住 完璧ですね! ちなみに生活を変えてからどれくらいで妊娠しましたか?

蛯原 半年くらいです。前回のこともあって、8週目、12週目など、節目といわれる時期をずっと不安で過ごしていましたが、今回は無事に生まれてきてくれました。

黒住 私も高齢出産だったので、不安でカレンダーに書いていました。この週までに赤ちゃんはこの体重でなくちゃ、という感じで。蛯原さんにはほかにも、妊娠中に前向きになれる流儀があったそうですね。

蛯原 周りの妊娠経験者が、あれも、これもできなくなる、という話をしていたので、子どもが生まれる前にやっておきたいことリストを作って、夫と焼き肉を食べに行ったり、映画に行ったりしました。目立つ所に貼って、ひとつずつクリアすることで赤ちゃんを迎える準備が整うような気がしていました。とはいえ、子どもが生まれてみて分かったのは、できない期間なんて一時に限られていて、子どもがいても、意外となんでもできるんですよね(笑)。

黒住 蛯原さんは無事に長女を出産されましたが、その後また、つらいことがあったんですよね。

蛯原 上の子が2歳の時に、再び稽留流産を経験しました。娘がいたこともあり、最初よりは落ち込まずにすみましたが、やはりつらかった。とはいえ、先生が「母体に問題があるわけではなくて、これは誰にでも起こりうる確率の問題だよ」と説明してくれたことで、最初の時よりは冷静に受け止めることができ、気持ちの整理も早くつけることができました。