■Case.2――仲間にも話して、力を借りる
二人目は、パートナー以外にも仲間を増やした高野真緒さん(仮名)。二人で落ちこみ、煮詰まってしまわないよう、夫婦事である妊活も積極的に発信。悩みを共有できる仲間を増やしたという。
「私が無排卵と診断された日は、夫と一緒に仲間の集まりに参加予定だったんです。ショックのあまり私は家に閉じこもりましたが、夫のことは『状況をみんなに話して、何か一つでもいいから有益なアドバイスをもらって帰ってきて』と言って送り出しました。実際、夫は年上のお姉さま方からいろいろとレクチャーされて帰ってきました。共感せよ、アドバイスはするなとか(笑)」
夫はそれ以後、サポートする姿勢を強く打ち出してくれるようになり、高野さんに親身に寄り添い続けたそう。
「相談の間口を広げることで思わぬところから有益な情報が得られたり、悩んでいるのは自分だけじゃないと勇気をもらえることも。一人で悩んでいたら根の深い問題になっていたかもしれません。また、何をすればよいかわからなかった夫にも、知ってくれる仲間を増やしたことは、よい影響をもたらしたように思います。」
■Case.3――男性不妊、情報も感情も新鮮なうちに共有
三人目は、阿賀野春子さん・真司さんご夫妻(仮名)。妊活開始から1年近く経ち、真司さんからの働きかけでふたりで病院へ行った結果、男性不妊が発覚した。
「医師から養子縁組や精子提供も視野に入れて考えておいてくださいとまで言われ、打ちのめされて。ショックを和らげようと徹底的に調べたが、男性不妊に関する情報は少なかった。妻には、『あなたには結婚を解消する選択肢もある』とも伝えたけれど、妻は『あなたに似た子を産んでみたい、二人でやれるところまでやってみたい』と言ってくれて。徹底的に話し合った末に、治療を決意しました」(真司さん)
診察には毎回夫婦で行き、帰りにはカフェでじっくり話し合うのが定例に。話題は治療の方針から養子、日本の性教育に至るまで実に幅広い。
「心がけているのは、悪い結果が出たときも感情共有を後回しにしないこと。時間を置くと感情も風化してしまいます。情報も感情も新鮮なうちに話し合うようにしています。二人にとってよりよい方向をすり合わせながら、信頼しあって妊活を進めています」(春子さん)