「固定費」「変動費」を
心の動きで分ける理由

 家計の支出には居住費、通信費、保険料など毎月あまり額が変わらない「固定費」と、交際費、被服費やレジャー費など、そのつどで金額が変わる「変動費」の2つに分けることができます。

 私は費目分けをより有意義に家計管理に役立てるために、「固定費」「変動費」の分け方を次のように考えています。

 まず「固定費」は、感情も固定されるものと位置付けます。いわば定期的に支払うべき必要経費。電気代やスマホ料金を払うたびにテンションが上がるような人、いませんよね。片や「変動費」は、支払うことによって気持ちや生活に彩りが生まれるものです。気に入った洋服を買う、話題のスイーツを食べに行く、友達と小旅行に行く、コンサートや趣味の拡充など、欲しい、試したいといった、自分の感情に左右される出費を指します。

 この、私の考え方の場合、同じ食費でも、米や牛乳、肉、野菜などベーシックな食材は「固定費」、背伸びをして買った高価なオリーブオイルや友人たちと愉しんだ外食、ブームにのって立て続けに買っているタピオカドリンクなどは「変動費」に分類します。

 このような「変動費」の削減からメスを入れると、日々、我慢とあきらめ、そしておカネをつかってしまったことへの後悔のくり返しとなり、自ずとストレスがたまるもの。そのため私は、先に「固定費」のテコ入れするべきだとお伝えしています。

たった一度の「固定費」見直しで
貯まる家計の基盤を整える

 さて、節約の第一歩は「固定費」の見直しです。スマートフォン(スマホ)を格安キャリアに変える、電力会社を比較して安い企業に契約し直す、不要な保険を解約する、利用していないスマホの有料アプリを解約するなど、削減できる手段があれば即、実施しましょう。多少手間はかかりますが、1回見直せば、それ以降は自動的に痛みを感じずに節約が続けられることになります。

「固定費」はクレジットカードで
「変動費」はデビットカードで管理

 前回(第3回)、キャッシュレス決済のいろいろな手段を紹介しました。支払いをキャッシュレスにすれば家計簿を付ける必要がなくなるのは何よりも大きな魅力だと私は思っています。日常の買い物もほぼすべてキャッシュレスにすると、あらゆる支出データが自動的に記録されます。これは画期的なこと、まさにおカネの新常識です。

 まず、「固定費」の支払いにはクレジットカードをおすすめします。月々の支払い額の変動は少ないので引き落しが翌月や翌々月の場合も、家計管理への影響は大きくありません。またスマホ代や保険料など、クレジットカード決済にすることで割引きがきく、ポイントが付与されるといったサービスも多いもの。数年にわたる利用となれば、この点も見逃せません。

 一方、「変動費」には、デビットカードやプリペイドカードを使います。貯蓄用の先取り分、固定費などをよけた変動費予算を銀行口座やカードに入金すれば、1カ月ごとの予算管理をしながら買い物ができます。デビットカードの利用可能額は銀行口座の残高分まで。うっかり使いすぎる心配もありません。

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