すべての病気・ケガから失業、自然災害まで幅広く保障

――団信の「特約」には、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。

竹下 近年、団信の拡充ぶりは目覚ましく、がん・脳卒中・急性心筋梗塞に備える「三大疾病保障」をはじめ、「5つの重度慢性疾患保障」「病気・ケガの保障」「失業時の保障」「災害の保障」など、幅広いプランが登場しています。自分で必要な保障を選び、基本の死亡・高度障害保障に上乗せできるのが特約の大きな特徴です。

病気やケガだけでなく、災害に対する保障まで登場している団信の特約。図はカーディフ生命とカーディフ損保が展開している特約一覧
病気やケガだけでなく、災害に対する保障まで登場している団信の特約。図はカーディフ生命とカーディフ損保が展開している特約一覧

村山 さまざまなリスクに備えられる特約は、働く女性にとって非常に心強い存在ですね。私も「もしも」のときに夫と子どもが困らないように、「三大疾病保障」や「病気やケガの保障」などを上乗せしました。

――保障のタイプが多様化していますが、どのように選べばいいでしょうか。

竹下 一般的に、保障を追加すると住宅ローンの金利が0.1~0.3%程度上乗せされることが多いです。保障内容の充実度と上乗せ金利を勘案しながら、自分の「もしも」を想像して検討することが大事です。例えば、「シングル女性」や「DINKS女性」は、「疾病保障」や、就業不能状態が続いたときに月々のローン返済額が支払われる「就業不能保障」を選ぶと安心です。「子育て女性」には「連生団信」がおすすめ

 夫婦収入合算で住宅ローンを組む場合(連帯債務型)、通常の団信は、主債務者が死亡・高度障害状態になったときにローン残高がゼロになりますが、連帯債務者は保障されません。「連生団信」は、夫婦が保障の対象なので、2人のどちらか一方に万一のことがあった場合にローン残高がなくなります。つまり、パートナーはもとよりご自身に万一のことが起こっても、残された家族がローンを返済しながら子育ても仕事もするといったリスクを回避できます。最近は、夫婦どちらかががんになったときにローン残高がゼロになる「連生がん団信」を取り扱う銀行も増えています。

村山 団信は進化しているんですね。今から特約の変更はできるでしょうか。

竹下 基本的に、団信の保障は途中で変更することはできません。ただ、村山さんのようにすでに住宅ローンを組んでいる方の場合は、現状の住宅ローンを借り換えたり、住み替えで新たに住宅ローンを組む際などに、団信を見直す機会があります。団信は金融機関の住宅ローンとセットになっているので、ホームページなどで金利などとあわせて団信の保障内容もチェックするといいですね。

不安の正体に対処して、将来設計を自由に描く

村山 子どもが生まれたときに医療保険に入りましたが、団信の保障と重複して、保険のかけすぎになっているのではと気になっています。

竹下 村山さんは団信の「疾病保障」に入っているので、医療保険を見直すなどして保険料を軽減できそうですね。保険の目的が違うとはいえ、1000万円単位で保険金が支払われる民間の医療保険はなかなかないので、団信の「疾病保障」の効力は大きいと思います。

村山 漠然とした不安を抱えているなら、まず情報収集が大切なんですね。わりと勢いで家を買ったので、もっと自分で調べたり、お金のプロに相談すればよかったなと思います。知っていれば「備え」の選択肢が得られ、逆に知らなければ選ぶことすらできない。今回、「知ることで選択できる自由」があり、それを手に入れて「自分で選択できる人生でありたい」と実感しました

竹下 住宅購入は金銭的負担をともないますが、団信という大きな保障も付いてきますから、賢く利用すれば将来的な不安に対処できます。しかも、村山さんのように、家を買うと数千万の借金をしたプレッシャーで、賃貸暮らしのときよりも家計を引き締めるようになります。例えば、月々1万円スリム化できたとすれば、老後もその家計で暮らせますし、節約した1万円を貯蓄して老後資金にも回せます。人生100年時代といわれる今、早い段階で家を買うことによって住まいを確保できるだけでなく、将来設計もより自由に描けるようになるのです。

※この記事では、団信の概要を説明しています。また保障内容は金融機関によって異なります。保障内容の詳細につきましては、各金融機関のホームページをご覧ください。
“住宅ローン保険”のパイオニア カーディフ生命
カーディフ生命は、がんと診断されると住宅ローン残高がゼロになる「がん団信」を、2001年に日本で初めて提供し始めた保険会社です。そのほかにもカーディフ損保とともに「三大疾病保障」や「5つの重度慢性疾患保障」「全疾病保障」「失業時の保障」「災害保障」など幅広い保障プランを用意。住宅ローン返済を支援し、働き盛り世代のさまざまなリスクから大切な家族とマイホームを守ります。

団信を理解して上手に活用しよう! 詳しくはこちら

取材・文/後藤かおる 構成/横濱啓子(remix-inc.)

竹下さくらさん
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。宅地建物取引士資格者
竹下さくらさん 損害保険会社および生命保険会社勤務を経てFPとして独立、現在に至る。個人のコンサルティングを主軸に、講師・執筆活動などを行う。著書に「1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し 100の鉄則」(技術評論社)、「『家を買おうかな』と思ったときにまず読む本」(日本経済新聞出版社)、「書けばわかる!わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方」(翔泳社)などがある。