「家、買おうかな」。そんな考えを持つ人が、最近増えています。働き方改革やコロナ禍の影響によって、より快適なワーク&ライフを求めて住宅購入を検討する人が少なくないのです。とはいえ、「先の見えない時代に、住宅ローンを払い続けられるのか」「病気になったり、ケガをしたらどうなるのか」といった将来への不安が拭えないのも正直なところ。そこでお届けするのは、37歳でマイホームを手に入れた日経xwomanアンバサダーの村山澄江さんと、ライフプランに詳しいFPの竹下さくらさんによる、住宅購入にまつわる本音と、住宅購入対策についての対談です。

「賃貸」対「購入」という永遠のテーマに決着が!?

編集部(以下、──)村山さんは4年前に自宅マンションを購入されましたが、まずその理由を教えてください。

村山澄江さん(以下、村山) きっかけは、再婚により2人で住む家が必要になったことです。初めは賃貸物件を探していましたが、東京都内の場合、2人用の部屋となると家賃が高くて、その金額に見合う物件に出合えずにいました。そんなとき、不動産会社の知り合いに購入物件を紹介されたんです。その物件は少し手狭でしたが、気学の先生をしている友人から「運気が上がるよ」といわれたエリアに入っていましたし(笑)、最寄り駅から1分という値下がりの心配がなさそうな立地だったので、購入もアリかなと思って踏み切りました。

――住宅購入後、行動面や気持ちの面で変化はありましたか。

村山 1人で賃貸に住んでいたときに比べて、お財布のヒモを締めるようになりました。住宅購入によって数千万円の借金を背負ったわけですから、無計画にお金をつかうのはやめようと。ただ、借金はしたけれど、住まいという資産を持ったことで気持ちに余裕が生まれました

まだ小さい娘さんが、シール遊びやお絵かきをのびのびできるのも持ち家ならではのメリットだと村山さん。「わが家は本当に好き放題にさせています(笑)」
まだ小さい娘さんが、シール遊びやお絵かきをのびのびできるのも持ち家ならではのメリットだと村山さん。「わが家は本当に好き放題にさせています(笑)」

 私は司法書士として独立して11年目になりますが、認知症の方の後見人として財産管理なども手がけています。その仕事を通して、高齢者になったときに、いざという時に売却できる家を持っている人の方が安心感があるということを常々感じてきました。実際に、お客様の家を売却して、施設に入る費用や住み替えの費用を準備する作業も行いますが、持ち家は「最後の砦(とりで)」になると実感しています。「賃貸」対「購入」というのは住まいの永遠のテーマで、いずれもメリット・デメリットがありますが、購入後の自分の気持ちの変化や高齢者の現場を見ると、私は購入してよかったと思っています。

夫は専業主夫、自分は自営業。ローンの不安が拭えず

――住宅購入は、老後不安を解消する一手段となりそうですね。一方で、村山さんがいうように、家を買うことで借金を長期的に背負うことになります。特に若年女性は、その6割が「病気やケガによる収入減」、2割強が「失業」など(※)目の前のリスクによって住宅ローンが払えなくなることを不安視しているようです。その点、村山さんはどうですか。

村山 わが家の場合、家事育児の担当が夫で、経済面は私の担当ですが、自営業のため病気やケガをすれば収入がストップします。しかも、借金はしない方がいいという親の価値観を刷り込まれてきたので、借金に対する不安が大きかったですね。ですから、住宅ローンは私1人が債務者となって組んだのですが、親からお金を借りて頭金を増やし、月々の返済額をなるべく抑えるようにしました。

――返済に関わるリスクを想定して、ローンを組んだのですね。

村山 はい。それと、1年間働くことができなくても大丈夫なぐらいのキャッシュを手元に残し、「もしも」のときに備えています。ただ、住宅購入後に子どもが生まれたので家がますます手狭に。今は、住み替えも視野に入れています。

※出典:カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」