男性の育休が当然に。パートナーと育児休業を分担すれば無理なく働ける

 出産や育児、子育てなどのライフイベントと仕事の両立を力強く支えてくれる育児・介護休業法が、令和3年6月に改正され、令和4年4月1日から順次施行されます。具体的な内容や、それによって働き方や休み方がどう変わるのか、詳しく紹介していきます。

 今回の改正のポイントの1つは男性の育児休業の取得を促進するための新たな制度「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されるという点です(施行日は令和4年10月1日)。産後パパ育休は、子どもの出生後8週間以内に4週間(28日間)取得可能で、

・原則として休業の2週間前までに申し出ればOK
・分割して2回取得できる
・休業中に働くことができる
(*労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲内で就業可能。就業可能な日数や時間に上限あり)

という、画期的な内容であり、「仕事が忙しい」「自分にしかできない仕事をしている」といった場合でも調整しやすい柔軟な制度です。産後は慣れない育児に加えて夜中の授乳などでママは睡眠不足になり、精神的にも体力的にも大変な時期にこそ男性の育休が必要だからこそできた制度なのです。

 そして、もう1つの改正ポイントは、企業に対する、①妊娠・出産した女性、配偶者が妊娠・出産した男性に対して、育児休業制度などについて個別に周知することと育休取得の働きかけを行うこと、②育児休業を取得しやすい職場にするために、研修や相談窓口の設置などの環境整備をすること、の2つの義務化です(施行日は令和4年4月1日)。会社から育児休業について個別に説明され、取得の予定を聞かれる上、研修などにより職場全体の意識・雰囲気も変われば、今まで取得をあきらめていた男性の不安や悩みも解消され、育休取得もスムーズになることでしょう。

 また、これまでの育児休業も改正され、休業を2回に分割して取得することができるようになります。さらに、保育所に入れないなどの場合、1歳以降の育児休業について途中で夫婦交代して取得することが可能となります。

 では、改正育児・介護休業法を使うとどんな働き方・休み方ができるのか、具体的に見てみましょう。

 現在は上の図のように、子が1歳になるまでの間、夫婦ともに原則1回しか育児休業が取れないのが難点です(男性は、出産後8週間以内に育児休業取得した場合の再取得制度(パパ休暇)あり)。男性の育休取得が進んできたとはいえ、男性が長期にわたって休める職場はまだ少ないのが現実かもしれません。「そんなに長く休むのはムリ」という男性の意識の壁もあるかもしれません。

 でも、改正後の育児・介護休業法では、下図のように育休の分割取得が可能になります。夫婦が途中で育休を交代したり、ママの職場復帰に合わせてパパが2回目の育休を取得できるのです。産後は慣れない育児に加えて夜中の授乳などでママは睡眠不足になり、精神的にも体力的にも大変です。その時期にパパがずっと休むのは無理でも、2~3回に分けて休みをとって家事・育児をサポートしてくれれば、どれほど心強いか分かりません。

 また、たとえば少し落ち着いてきた頃にパパはいったん職場に戻り、ママの職場復帰に合わせてもう一度育休を取ることもできます。保育園では最初は数時間だけ預ける「慣らし保育」からスタートすることも多いので、パパが休みをとって保育園の送迎を担当すれば、ママは安心して仕事を再開できます。夫婦ふたり同時に育休を取ることもできるので、パパが育児をしている間にママが自分の時間を持てたり、リフレッシュすることもできるでしょう。

 育児・介護休業法では、育児休業制度のほかにも、短時間勤務制度、残業免除制度、子の看護休暇制度などの両立支援制度も定められています。進化している両立支援制度を賢く使いこなせば、出産しても無理なく働く環境が作れます。自分らしいワーク・ライフ・バランスを実現するためにも、ぜひ両立支援制度を正しく理解しておきましょう!