「結婚や出産をしても、自分らしく働き続けたい」と思う女性が増えています。一方で、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けられるのか不安を感じている人もいるでしょう。育児休業制度は時代のニーズに合わせて拡充されていていますし、男性社員の育休取得率100%を目指すという企業も出現するなど、社会全体も変化しています。男性の育休取得も含めて育児休業に関する法律や現状を正しく知って、自分らしいキャリアプランを考えていきましょう!

ちゃんと理解できてる? 育児休業に関する法制度

「ずっと働き続けたいけれど、結婚や出産もしたい」「子育てしながらもキャリアを諦めず、輝き続けたい」と考えるのが、当たり前の世の中になってきました。読者の親世代のワーキングマザーの中には「親やベビーシッターに子どもを預けて夜中まで働いた」という人もいますが、時代は大きく変わり、女性が働きやすい環境が整ってきています。

「母親だけが仕事と育児・家事の両立で苦労する」という流れを変えたのが、平成4年(1992年)に施行された「育児休業法」です。それまでも労働基準法で女性には「産前6週、産後8週」の産前・産後休業(産休)が認められていましたが、育児休業は努力義務に過ぎませんでした。ところが、育児休業法の成立で初めて、女性でも男性でも「子どもが1歳になるまで、育児休業を取得できる」ことが法律で定められたのです。

 導入当初は常時労働者31人以上の事業所が適用対象で、すべての事業所が対象になったのは平成7年のこと。とはいえ、罰則はなかったので現場に浸透するには少し時間が必要でした。また、平成7年に「仕事と育児」だけでなく「仕事と介護」の両立を推進する「育児・介護休業法」に改正され、出産や育児、介護などで退職することなく、キャリアを継続できるよう休業以外の制度も拡充されていきました。

写真:pixta
写真:pixta

 育児休業制度ができてから早30年が経ち、時代のニーズに合わせて制度はどんどん拡充されてきました。現在の育児休業制度の概要は

・1歳未満の子どもを育てる労働者は、男女ともに、子どもが生まれた日から1歳の誕生日の前日までの間に育休を取得できる
・保育所に入れない場合などは、子どもが2歳になるまでの間、育休を取得できる
・両親ともに育休を取得していれば、「保育所に入れない」などの事情がなくても、子どもが1歳2カ月になるまで育休を取得できる(「パパ・ママ育休プラス」制度)

 育休取得者の推移は…

出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」
出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」

 最近では女性の育休取得者は8割台で安定しています。男性の取得者は、女性に比べれば少ないものの、ここ数年で飛躍的に増えています。育児休業以外の制度の拡充や職場の理解も進み、出産後も女性が働きやすくなり、男性も育児をする環境がどんどん整ってきているのです。さらに令和4年4月1日以降順次施行される「改正育児休業・介護休業法」は今まで以上に仕事と育児の両立がしやすくなり、夫婦の働き方・休み方に大きな影響を与えそうです。

 次ページからは、改正育児・介護休業法を具体的に解説します。