2019年が終わろうとする今、社会の動きを言葉で振り返ります。doors読者ならハイヒール強制着用に反対する#KuToo運動はご存じかもしれません。2019年の新語・流行語大賞でトップテンに入賞したのは記憶に新しいところです。社会問題だけではなく、大人気のタピオカドリンクから派生した言葉などは、消費のトレンドを生み出す女性たちがけん引した感があります。新語ウオッチャーのもり・ひろしさんが「女性」を切り口にした新語から浮かび上がる社会の変化を分析します。

12月2日に発表された「現代用語の基礎知識選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式。#KuTooやタピるなどのトップテン入選の言葉は、主に女性たちが主導した。前列左から3番目が#KuToo運動のきっかけをつくった石川優実さん。年間大賞は「ONE TEAM」だった
12月2日に発表された「現代用語の基礎知識選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式。#KuTooやタピるなどのトップテン入選の言葉は、主に女性たちが主導した。前列左から3番目が#KuToo運動のきっかけをつくった石川優実さん。年間大賞は「ONE TEAM」だった

 言葉は社会を映す鏡です。さまざまな時代の新語・流行語を比較することで「女性を取り巻く社会状況」がどう変化したのかも分かります

 例を挙げましょう。昭和初期の日本では様々な○○ガールがはやりました。職業婦人を意味するオフィスガールや、ファッションモデル兼ショップ店員ともいえるマネキンガールなどがはやったのです。それらガールの多くは「職業」を意味する言葉でした。

 一方で2010年代は、○○女子という言葉をよく見かけました。カメラ女子やこじらせ女子の類です。今年もプロテイン女子(美容などのためプロテインを摂取する女性)やワークマン女子(作業服店ワークマンの服を着こなす女性)などが話題になりましたね。そんな女子の多くは「ライフスタイル」に関連した言葉なのです。

 このような「○○ガール」から「○○女子」への変化は、女性を取り巻く状況の変化を反映しています。つまり女性の社会進出が「職業のみならずライフスタイルにまで及んだ」のです。カメラを楽しむのも、プロテインを取るのも、ワークマンの服を着るのも、かつては男性に偏った習慣でした。

 さてちまたでは、ユーキャン新語・流行語大賞(現代用語の基礎知識が選出)やJC・JK流行語大賞(10代向けマーケティング会社のAMFが選出)など、新語・流行語で2019年を振り返る企画が続々と発表されました。では2019年話題になった新語・流行語からは、女性を取り巻くどんな変化が観察できるのでしょうか。ここでは「メディア」「流行発信地」「社会運動」という3つのテーマを切り口に考えてみましょう(以下近年話題になった新語・流行語を赤字で、懐かしの言葉を青字で示します)。