食物繊維と難消化性でんぷんが腸を整え、血糖値の急上昇を抑える

 さらに注目したい成分が、食物繊維と同様の働きをする「難消化性でんぷん」。ジャガイモや小豆などにも多く含まれる炭水化物で、「小腸内で消化されず大腸の奥まで届き、善玉菌のエサになる。腹持ちが良いため、食べ過ぎ防止にもいい」(福島さん)。

 実際に加熱調理済みのソルガムきびを与えた動物実験では、腸内の善玉菌数の他、酪酸などの短鎖脂肪酸の産生量が増加。さらに短鎖脂肪酸の効果とみられる腸壁のムチン量の増加、内臓脂肪の減少効果なども確認されたという。「ソルガムきびに含まれる難消化性でんぷんと食物繊維が腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を良くする働きが示唆された」(福島さん)。

 これらの食物繊維や難消化性でんぷんには、食べ物の消化・吸収をゆっくりにして血糖値の急上昇を抑える働きもある。脂肪をため込むインスリンの分泌を抑えるため、太りにくい体づくりにも役立つといえそうだ。

 欧米では“小麦粉に一番近いグルテンフリー食材”として幅広く活用されるソルガムきびは、雑穀特有のくせやにおいが少ないのが魅力。白米に混ぜて炊いたり、粉を小麦粉に代替して調理するだけで、栄養価もアップする。次ページでは、普段のメニューに手軽に活用できる“腸活”レシピを紹介しよう。

【1】腸を整えてお腹すっきり
ソルガムきびに含まれる食物繊維、難消化性でんぷんが胃で消化されずに腸まで届き、腸の働きを良くする。難消化性でんぷんはソルガムきびの他、ジャガイモや小豆にも多く含まれる。腹持ちがよくダイエットにもいい。

加熱調理したソルガムきび(120℃で20分の処理)入りの食餌をラットに4週間与えたところ、善玉菌(ルミノコッカス)、酢酸やn-酪酸などの短鎖脂肪酸の量が増加。また、腸内のpHの低下や大腸壁を守るムチン量の増加、内臓脂肪の減少、体重の減少などが確認された。一方、加熱調理しないものにはこれらの効果は見られず、加熱することが重要であることが分かった。<br>(データ:Nutrients12,2412; doi:10.3390/nu12082412,2020)
加熱調理したソルガムきび(120℃で20分の処理)入りの食餌をラットに4週間与えたところ、善玉菌(ルミノコッカス)、酢酸やn-酪酸などの短鎖脂肪酸の量が増加。また、腸内のpHの低下や大腸壁を守るムチン量の増加、内臓脂肪の減少、体重の減少などが確認された。一方、加熱調理しないものにはこれらの効果は見られず、加熱することが重要であることが分かった。
(データ:Nutrients12,2412; doi:10.3390/nu12082412,2020)
【2】不足しがちな食物繊維、ミネラルが豊富
ホワイトソルガムきびを日本人に身近な穀類と比較すると、食物繊維やマグネシウムや鉄分が多いことが分かる。特に全粒は、食物繊維は小麦粉の約3.8倍、マグネシウムは約13 倍、鉄分は約6倍と栄養が豊富。
身近な穀物との栄養比較(100g中)
身近な穀物との栄養比較(100g中)
(データ:日本食品標準成分表2015年版(七訂)/ソルガム(モロコシ)との比較)
【3】グルテンフリー
グルテンを含まないため、欧米を中心に認知度が高まるセリアック病、グルテン過敏症などグルテン起因の疾患を持つ人にも支持されているが、これらの症状のない人にもお薦め。粒を白米に、粉を米粉にブレンドしても使いやすい。

【4】くせがなく使いやすい
ホワイトソルガムきびは少しナッツに似た風味があるが、ほぼ無味無臭。雑穀特有のくせが少ないため、一緒に使う食材の風味や色が生かせる。スーパーフード穀物のなかでも比較的リーズナブルで入手しやすい。