女子大生が教えてくれた、自分の課題

 「コンサルタントとして業務に当たる際は、自分よりキャリアレベルが上のお客様と話すことが多くなります。そのため、ミーティングの前は緻密にロジックを立て、限られた時間の中で、事前に設定したゴールにつながるよう会議をマネジメントすることを是としていました。そんな自分のコミュニケーションスタイルの課題に気付いたのが、ボランティア活動で女子学生と話していた時のこと。私と話す学生さんの顔が曇っていたんです。『私は、彼女の本音を引き出してあげられていない』と感じ、その後はコミュニケーションスタイルを変え、徹底的に相手の話を引き出すように心掛けるようになりました。その後も仕事の基本的なスタンスこそ変えていませんが、会議中、相手が納得していないかもしれないと少しでも感じたら、個別にしっかりフォローするようになりました」

 さらに山本さんは「キャリアズ・マーケットプレイス」という、言わば「社内転職」の仕組みも活用した経験がある。同社には一般的な企業で行われているように、企業の人事部が社員の異動を主体的に決めるという仕組みがなく、社員自身が自分のキャリアの方向性を決めている。つまり、社員は常に社内イントラに提示されるポジションの中に自分で挑戦してみたいポジションがあれば、自発的に応募することができる。日本オフィスだけでなく、グローバル全体のポジションに応募できるという。異動がかなわなかった場合でも、誰にも異動希望を出したことが知られることがないため気兼ねなくチャレンジできる。

 山本さんはこの制度を使い、2018年7月に現在の部署に異動。同時に、それまでの「テクノロジーコンサルタント」(お客様のIT戦略を策定し、システム全体の構想を練る)から「経営コンサルタント」へのキャリアチェンジを提案して実現した。将来、教育に携わるには、教育現場における、より本質的なアプローチが可能な職種を求めたためだ。そして、念願だった教育関係のプロジェクトに参画し、全社改革の実行支援を行っている。さらに、2018年12月には管理職への昇格も果たした。