「卵子凍結」にかかる費用の30%を支給

 続いて、企業やアスリートのPRを主力事業とするサニーサイドアップの谷村江美さんが登壇。同社では社員のプライベートを充実させることで、仕事にも意欲的に取り組んでもらえると考えている。そこで社名の「サニー」になぞらえて、32の制度を制定した。その一部がこちら。

◆男度・女度アップ制度
朝礼で社長がくじを引き、当たった男性は社長とともに昼食へ。女性はエステやネイルサロンなど、月に1度だけ美容につながるサービスを受けられる。

◆恋愛勝負休暇・失恋休暇制度
プロポーズをする日や、失恋後で出勤がつらい日に会社を休むことができる。実際に男性社員が「恋愛勝負休暇」を取得し、プロポーズに成功したという事例も。

◆A体(えーからだ)制度
社員の健康を促進するための制度。健康診断の判定がオールAだった場合、3万2000円が支給される。

◆幸せは歩いてこない制度
月の平均歩数が1万歩を超えると、毎月3200円が支給される。「楽しみながら健康になってほしい」という思いから制定された。

◆国際女性デー制度
3月8日の「国際女性デー」は、15時に退勤するよう奨励。女性は友人と過ごす時間に充て、男性は家族など身近な女性をいたわる時間に充てている。クライアントから贈られた商品を抽選でプレゼントすることも。
サニーサイドアップの谷村さんが32の制度について説明。32の制度は内容が変わることもあるという
サニーサイドアップの谷村さんが32の制度について説明。32の制度は内容が変わることもあるという

 上記の制度に加え、2015年7月には女性社員向けの制度として「ディアウーマン制度」が制定された。これは卵子凍結をする社員に、補助金を支給するというものだ。

 「32の制度を毎年見直し、改廃していく中で生まれました。女性の体には妊娠するタイミングがあります。だからこそ卵子を凍結するというのも選択肢の一つだと思っています。米国では卵子凍結の取り組みが進んでいて、4年間で7万人が保存したと言われ、仕事も出産も両立したいと考える女性がこの方法を採用すしています。一方、日本では卵子を凍結しようとすると、自由診療のため費用が高く、100万円近くかかる病院もあります。そこで、卵子凍結から保存までの利用総額の30%を会社が支給し、社員の負担を軽減する制度を導入しました。社員が新しい生き方に気づくきっかけになればと思っています」(谷村さん)。実際に利用する社員が出始めたという。

バリキャリ以外の働き方を模索

 次に登壇したサイバーエージェントの簑田咲さんは、社内横断組織「カラメル」のメンバーとして活躍している。このカラメルは社内の女性社員が「絡める場」を作るために結成され、十人十色の働き方を応援している。

 「これまでサイバーエージェントは拡大の一途をたどってきたため、活躍する女性社員=バリキャリというイメージがついていました。そんな中、社内から聞こえてきたのは『私はバリバリ働くタイプではないため将来が不安』『今までとは違う働き方を模索したい』という声。さまざまな女性の働き方を可視化するために、新組織カラメルを設立しました」(簑田さん)

カラメルメンバーは簑田さんを始め20人。いろいろなアイデアを出し合って活動を進めている
カラメルメンバーは簑田さんを始め20人。いろいろなアイデアを出し合って活動を進めている

 カラメルでは女性が登壇するイベントやランチ会などを企画。女性社員ならではの悩みを吐露したり、両立の知恵を共有したりする場を提供している。

 「イベントでは、バリキャリ以外の働き方をしながら成果を上げている女性社員に登壇してもらい、仕事とプライベートの両立方法を聞きました。また、ランチ会では産休前、育休明けなど、同じフェーズの女性ごとにチームを作りました。世代や部署を越えて話ができる場を提供し、抱えている悩みなどを共有してもらいました。今後もイベントを随時開催して、女性が活躍できるようにサポートしたいです」