長野県上田市にあるはたらクリエイトは、子育てや介護、夫の転勤などにより一度離職した女性を中心に採用し、戦力化して、企業のさまざまな業務を受託しています。「働きたくても働けなかった」という女性たちの能力をフルに活かすために、制度や雇用形態など工夫をしています。そんなはたらクリエイトの事業モデルの成り立ち、詳細について聞きました。

オープンキッチンがある、おしゃれな内装の職場

 長野県上田市――東京から北陸新幹線で約90分のところにあり、真田幸村ゆかりの地としても知られている。緑を多く感じることができるJR上田駅前には商店街が続く。その一角にある飲食店と見まがうような建物の扉を開けてみると、おしゃれな空間が広がっている。広々とした打ち合わせスペースにオープンキッチン、そしてその奥には執務スペースがあり、女性たちがパソコンに向かって作業している。

入口のすぐ近くには広々とした打ち合わせスペースがある
入口のすぐ近くには広々とした打ち合わせスペースがある
オープンキッチン。ランチの際に調理する社員もいる
オープンキッチン。ランチの際に調理する社員もいる
奥に行くとオフィススペースがある。60人近くの女性たちがパソコンに向かって業務に没頭している
奥に行くとオフィススペースがある。60人近くの女性たちがパソコンに向かって業務に没頭している

 実はここは、はたらクリエイトという企業のオフィス。同社では約90人いるスタッフのうち、約90%が1歳~小学生の子どもを持つ女性。どのスタッフも結婚や出産を機に一度離職した経験があり、ブランクを経てこの職場で働いている。

 代表の井上拓磨さんは「特に地方では、出産や育児などで一度退職してしまうと、その後再び就職したくても、時間や働く場所に制約があるため、なかなか働く先が見つからないという課題があります。かつて、多様なキャリアを積んでいたとしてもそれを生かすことが難しい。単純な軽作業の仕事に就くしかないということも多いです。一方、都心部を中心に人材不足に悩んでいる企業もあります。そうした企業から業務を請け負って、遠隔で作業することはできないかと考えました」と言う。

 具体的な業務内容はウェブメディアの記事制作、企業のSNSなどの運用、採用業務支援など多岐にわたっている。「未経験で始める人も多いのですが、研修などを受けてもらいしっかりスキルを磨いています。クライアント企業それぞれに専属チームを立ち上げ、相手のニーズに寄り添って仕事を進めるので、依頼した企業からは自社の一部署のように感じてもらっています。働き方改革で残業時間を減らした結果、業務が手に負えなくなった企業や、慢性的な人材不足に陥っている都心部の企業からの依頼が増えています」