妊娠を計画的に考える若年層が増加

 調査結果について不妊治療も手掛ける産婦人科舘出張佐藤病院(群馬県高崎市)の佐藤雄一院長は、「当院でも外来にいらっしゃる方は、高年齢化している一方で、若い人も増えてきています。不妊に悩んで治療を受ける人が多いという情報や報道に触れる機会が増えたことで、妊娠出産を計画的に考える若者が増えていることが背景にあると思います」と話します。

 不妊の原因の一つに挙げられるのが年齢の壁。妊活を開始して、不妊治療に進んだ場合、妊娠率や生産率は30代後半から下がり始め、反比例するように流産率は上がります(下図参照)。結婚年齢が上がり、40代で出産する人もいますが、子どもを望む状況であれば、早めに妊活を始めることが妊娠の確率を上げるというのは事実。「妊娠しやすさ」や「年齢的なリミット」といったことが知識としても浸透してきているようです。

日本で不妊治療をした場合の年齢別の妊娠率・生産率・流産率。35歳を過ぎると流産率が増え、妊娠率・生産率が減る(データ:日本産科婦人科学会 2014年調査)
日本で不妊治療をした場合の年齢別の妊娠率・生産率・流産率。35歳を過ぎると流産率が増え、妊娠率・生産率が減る(データ:日本産科婦人科学会 2014年調査)

「夫婦とも積極的」は約半数

 妊活を成功させる要因に同調査が挙げたキーワードは「ふたり妊活」。これは、夫婦が相談し合って協力して妊活を行うこと。同調査によると、妊活への取り組みが「夫婦ともに積極的」という回答は49%と約半数。半数の夫婦がともに積極的に妊活に取り組めている一方で、「女性は積極的なのに男性が積極的ではない」という人も13.6%。妊活意識の差がある夫婦ほど、精神的ストレスを感じやすい傾向にあると調査は指摘しています。

「男女ともに積極的」は49.0%。「女性の方が積極的」は13.6%(データ:ロート製薬 妊活白書2019)
「男女ともに積極的」は49.0%。「女性の方が積極的」は13.6%(データ:ロート製薬 妊活白書2019)

 「妊活、特に不妊治療を伴う場合は、時間的にも身体的にも、どうしても女性の負担が大きくなります。そこを男性に精神的にサポートしてもらうことにより、女性は治療により前向きになれます。子どもができないストレス、職場との折り合いのストレス、周りからの子どもを期待されるストレスなど、多くのストレスを受けている女性に対し、夫やパートナーからの非協力的な言動や態度があると、さらに負担は大きくなってしまいます」と佐藤院長は指摘します。

 妊活をスムーズに進めるためには、二人の“気持ちの足並み”がそろうこと、そして、パートナーの精神的なサポートが欠かせないのです。