「しばらくは妊娠せず仕事を頑張る」と決めている20~30代の中には、「不妊治療」がちょっと気になっている人もいるのではないでしょうか。今回は、不妊治療専門クリニックの京野アートクリニック高輪を訪ねました。京野廣一理事長は普段の治療だけではなく、セミナーを通して、働きながら不妊治療をする女性をサポートしています。不妊治療のステップや治療内容、費用など、気になるポイントを教えてもらいました。

働く女性は不妊治療を理由に仕事を辞めないで

 京野アートクリニック高輪の京野廣一理事長は言います。

 「仕事を辞めて不妊治療に専念する方もいらっしゃいますが、私はなるべく、仕事は辞めずに治療を受けてほしいと思っています。不妊治療は費用もかかりますし、治療のことで頭がいっぱいになるとかえってストレスが増えてしまい治療にも影響がある。仕事を続けつつ、仕事中は治療のことは忘れる――そうやって、うまくバランスを取りながら治療をするのが理想だと思います」

 今は、平日の早朝や土日・祝日でも診察を受け付けるといった、働いている人でも通いやすいクリニックも増えているそう。

 とはいえ、「今は仕事で手いっぱい」という方にとっては、働きながらの不妊治療はイメージしづらいですよね。では、不妊治療クリニックに通い始めたら、具体的にどんな流れで治療が進められていくのでしょうか

 「まずは、不妊の原因を探します。検査をして、女性の体に問題があるのか、男性の体に問題があるのか、もしくは特に原因がないのかを確認します。女性側にある原因としては、卵子が通る卵管が狭い、または塞がっているなどの卵管の問題や、子宮内膜症などの病気。男性側の原因としては、精子が少ない、もしくは精子が活動していないといったものが考えられます」

 夫婦の生殖機能のどこかに妊娠を妨げている原因があるとしたら、まずはその治療に着手します。例えば卵管に原因がある場合は、卵管鏡下卵管形成術(FTと呼ばれる)という手術を行い、卵管を拡張。その治療がうまくいかない場合は、体外受精に進みます。

 「昔は、女性側の不妊の理由は卵管などの問題がメインでしたが、今は、母体の高年齢化による卵巣機能の低下や、卵子の老化という原因が増えています。その場合は、検査をしても特に異常は見つかりません」

 異常が見つからなかったときは、どのようなステップを進むのでしょうか。この図のように、「タイミング法」「人工授精」「体外授精」があります。

 それぞれ、どんな内容でどのくらいの期間・予算になるのでしょう。次のページから具体的に見ていきましょう。