私が輝く得意分野は、ウェブの宣伝という仕事
どんどん新しく生まれる自社のサービスやコンテンツ。ウェブの宣伝の仕事は、オンラインのツールや手法を駆使し、伝えたいメッセージを伝えたいユーザーに効果的に届ける方法を検討すること。
「この仕事はスピード感があり、常に新しいことに満ちています。刺激的で全く飽きることがありません。これほど自分に合っている仕事はない、と感じたんです」
サイバーエージェントには、「Geppo」という組織診断ツールを導入していて、仕事の満足度や自身のキャリアの相談など、月に1度、人事に直接伝えることができる。玉田さんが立ち上げた『セレクティ』というメディアはその後、大所帯になり、名前も『by.S(バイエス)』に変わった。大仕事をやり遂げたという達成感を得たタイミングで、「Geppo」に「AbemaTVの宣伝をやりたい」と書いた。AbemaTVはインターネットテレビとして開局し、宣伝に力を入れているタイミングであり、異動が決まった。
玉田さんがAbemaTVで挑戦したかったのは、ドラマの宣伝。しかし、最初から難易度の高いドラマの宣伝を託されるほど甘い世界ではない。他の仕事を着々とこなし、自分なりに目標の数字を出せるよう努力を続けた。そして、晴れて昨年12月からドラマの宣伝に携われるようになる。
「成果」で勝負するフェーズに
「新卒時期は、『一生懸命』頑張っているだけで実力以上に下駄を履かせてもらえていたこともありました。ただ、そこにあぐらをかいていると、気づいたときには『若さ』という武器がなくなり社会人としての市場価値は下がる一方です。30代直前になり、仕事で『成果』を出せないと評価されない年齢に入ると自覚しています」
しかも最近、大手テレビ局から30代後半~40代の経験豊富なドラマ制作者が転職入社するケースが増えた。
「ベテラン社員と一緒に仕事をするに当たり、『ドラマはよかったのに、宣伝が力不足だった』と、頼りない宣伝担当者と思われたくない。『宣伝はやっぱり玉田さんじゃないとね!』と言われるぐらいの成果を出さなければと思っています」 と、玉田さんは自分にプレッシャーを掛け続ける。
ウェブの宣伝の仕事は、「ウェブマーケター」という職種。「当社の採用担当者によると、最近の内定者は、この職種を志望する若手が増えていると聞きました。私が学生の頃はこの言葉がまだ生まれてなかったので、職のカテゴリーとして広まりつつあり、とてもうれしいです」
「これからも、このウェブマーケターの道を歩み、極めていきたい」
入社1~2年目の頃、葛藤していたときの自分に、今ならどんな言葉を掛けてあげたいか尋ねると、玉田さんは数年前の自分に思いを馳せるように、少し間を置いて答えた。
「『大丈夫! 必ず自分を夢中にする仕事が見つかるよ!』ですかね」。そうほほ笑む玉田さんは、どこか誇らしげで、輝いていた。
取材・文/吉田明乎 写真/工藤朋子