東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)を開催するにあたり、欠かせない存在であるオフィシャルパートナー。リクルートは東京2020大会の人材サービスやオンライン学習、教育サービスの領域で、2017年にオフィシャルパートナー契約をした。その組織委員会職員の採用や研修などの業務支援、そして人材育成のマネジメント業務を担当するのが、今回お話を聞いた岩本亜弓さんだ。
「私は、『○年後までにどのようなキャリアを積み、実績を残して、成し遂げたいことは○○……』と、緻密にプランを練って登っていくような『山登りキャリア』は苦手。どちらかと言うと、時に岩にぶつかり、カーブしながら進んでいく中で目標を見つける、『川下りキャリア』思考ですね」
そう話すのは、現在、リクルートで東京2020大会の支援に向けたプロジェクトに従事する、岩本亜弓さん。
大学卒業後、新卒でリクルートに入社。美容室などの検索・予約サイト『ホットペッパービューティー』の営業部門に配属、その後の企画部門での経験を併せ7年間勤務。「当時は、営業はもちろん、カスタマーの集客や、プロモーション、美容室店舗の経営的観点など、幅広い業務に携わりました。当時の経験は、今でも糧になっています」という。
「自信の形成」に興味を持ち心理学を勉強
岩本さんの実家は約300年続く京都の和菓子屋。比較的裕福な家庭に生まれた。しかし、子ども時代に店が経営難に陥り、急激な生活の変化に対応し切れず、精神が不安定になったことがある。家庭の事情や進学など、世間の「価値観」と一致できない自分に、大きな劣等感を抱いた。
「人にはさまざまな家庭環境があり、いろいろな学歴の人がいて、多様な考え方があるほうが自然ではないだろうか……」。そう考えるようになった岩本さん。人間の心や多様性について深く勉強しようと、大学では社会学部心理学科を選び、ダイバーシティ学を専攻。卒論は「人間の自信形成」がテーマだった。
「人生で突き当たる数々の選択に何一つ間違いというものはなく、すべて尊重すべきもの。決定したことを自分で受容し、正解にできるかが自信形成の鍵である」――。現在も、岩本さんが仕事を進める上で、思考のベースになっている。
「多くの人の『選択肢』を増やす、そのお手伝いを行っているのが、リクルートという企業のさまざまな人材事業だと考えたので、この会社へ入社することを決めました」