Q 「メールで済むのでは?」と思う会議への対策は?
自分から、会議以外の手段を積極的に使ってみましょう。例えば「試しに1週間だけでも、全体への周知事項はこのビジネスチャットを使ってみませんか?」と、提案してみるのです。
このとき、「期限」を設定することは大切です。期限を設定すれば、「今のままでいいのに……」と思っている人の抵抗を、少なくすることができるからです。「使ってみてやっぱり嫌だったら元に戻せる」という余地を残しておくことで、行動へのハードルは下がります。
そして試しに使ってみて、チャットのほうが楽だと分かったら……。みんなその方法に切り替えていくでしょう。なぜなら人間は、楽なものに飛び付く生き物です。その性質を利用して、期限を決めて「楽な代替手段」を提案してみましょう。
Q 話が脱線して会議が長い……。スムーズに進める方法は?
下記の2つのうち、どちらの会議がスムーズに進むと思いますか?
A ホワイトボードに、「議題」と「決めるべき項目」「タイムスケジュール」が書かれている会議
B そうした準備が何もされていない会議
答えはもちろんA。理由は、Aの場合はメンバー全員が共通の目的意識をもって、時間管理をしながら会議を進めていけるからです。このように、目的意識と進捗、時間、結果を視覚化し、共有できる「仕組み」をつくる。全員がファシリテーターとなって、会議を進めていけるような「設計」にする。この取り組みが大事だと思います。
というのも、「会議の効率化」というと、個人のファシリテーションスキルやプレゼンスキルに傾倒しがち。しかし、たとえ1人が高いスキルを持っていても、会議全体の効率化は難しい……。つまり会議は、「設計8割、スキル2割」。まずは「設計」で改善する工夫が大切なのです。
その他にも、会議の議事録をその場で記入できるファイルを立ち上げ、それを全員で共有しながら、会議と同時進行で議事録を作成していくという方法もあります。会議中に共有しながら議事録を書いていけば、その場で発言内容の確認や修正ができ、認識の相違がない状態で会議を進めていけます。
そして議事録をその場で書いていくのなら、若手社員の方は、ぜひ率先して議事録担当になってみましょう。そうすることで、自分も会議に貢献でき、さらには要約力や言語化能力なども身に付きます。
いかがでしたでしょうか? 「会議裁判をする」「当たり前を疑ってみる」など、意外なところに「ムダを省く」カギがあったのではないでしょうか。「これはマネしたい!」と思ったものは、明日から、いえ、ぜひ今日から取り入れてみてください。
次回は、コミュニケーション不足で「職場が殺伐とし過ぎ問題」の解決策を、沢渡さんがご紹介します! ぜひ、ご期待くださいね。
取材・文/青野梢 写真/工藤朋子、吉澤咲子 構成/浜田寛子(日経doors編集部)