Q. 社外の人への自己紹介、心掛けておきたいことは?

 社外の人に対しても、これまでの「キャリア」や「専門性」と、これから取り組んでいきたい「興味関心」の二つを伝えることは大切です。その上で、さらに「共通のテーマとなる引き出し」を増やしておくといいでしょう。

 例えば、「以前は他部署にいた」話や、転職前は「△△業界にいた」という話。仕事以外で関心を持っていることや、趣味の話をするのも手。相手に自己開示をしておくことで、「そういえばこの前、〇〇さんが□□って言ってたな……」と、あなたのいない所で、あなたのことを思い出してもらえる機会が増えるからです。

 この「そういえば」の誘発は、コミュニケーションを取る上でとても大切なこと。共通のテーマがトリガーとなって、「そういえば〇〇の仕事をしてたって言ってたよね? 実は今度その事業に参入することになったんだけど……」と、信頼関係を築くきっかけになることがあります。

☆ちなみに私は「ダム」好きです
 私は「ダム」が好きで、各ダムで配布されているカード型パンフレット「ダムカード」を集めています。名刺もこの「ダムカード」のデザインに合わせて作っていて、機会があれば、お会いした人に「名刺」と「ダムカード」をお見せしています(ダムカードはいつも持ち歩いています)。
 どうでしょう? 今後、旅先でダムを通りがかったとき、「そういえば……」と、私のことを思い出していただけるのではないでしょうか。

Q. 他部署との共同プロジェクト、どうコミュニケーションを取る?

 他部署と連携して仕事をする場合には、このプロジェクトで「自分がどう役に立てるのか」「自分はどうしていきたいのか」を開示するといいですね。例えば、「私は自分の部署で、上司に〇〇という提案ができます」「〇〇といった面での調整役ができます」など。自分から率先して開示をすることによって、周囲も自分の役割を口にしやすくなります。

 自分がこのプロジェクトにどう貢献できるのかを周囲に知ってもらわない限り、周囲もあなたに何を期待していいのかが分かりません。そのため、協力関係を築くためには、まずは自分の役割や得意不得意を把握し、それを周囲に伝えておくことが大切です。

 また、会議や顔合わせの前に、お互いの緊張を解きほぐすための「アイスブレイク」を用意しておくのもいいと思います。私がよくやっていたのは、会議室の机の上にお菓子の「きのこの山」と「たけのこの里」の箱を置いておき、やって来た参加者たちに、どちらかを選んでもらう方法。

 それぞれの好みで「きのこ派」と「たけのこ派」に分かれるので、「あ、〇〇さんはきのこ派なんだ~!」と、童心に帰った気分で楽しく盛り上がれます。

 アイスブレイクにはさまざまな方法がありますが、互いの過去に触れるようなものだと、話題によっては語りたくないという人もいます。まれに思い入れが強過ぎて本気になる……という人もいるかもしれませんが、この「きのこの山」と「たけのこの里」のような食にまつわるものだと、重くなり過ぎず、楽しく打ち解けられるきっかけになると思います。


 新年度も始まり、新しい人間関係の構築に悩んでいる方も多いかと思います。ですが、沢渡さんのアドバイスの通り「初めまして」の自己紹介を少し工夫するだけで、意外と職場の人と打ち解けられるかもしれませんね。

 次回は、「職場が殺伐とし過ぎ」問題を、沢渡さんが解決します! コミュニケーション不足に悩んでいる……。そんな方は、ぜひ、楽しみにしていてくださいね。

取材・文/青野梢 写真/吉澤咲子 構成/浜田寛子(日経doors編集部)