前回の記事ではセルフブランディングとして「理想の自分を演出することが大事」だと、紹介しました。自分演出に最適なツールといえば、ファッション。今回は仕事の現場で好印象を与える「ビジネスファッション」について、余語まりあさんが解説します。

日本人女性はビジネスファッションが苦手

 朝の身支度で時間がかかるものといえば、通勤服のコーディネート。でも、「頭を悩ませたわりには何だかイマイチ……」という経験はないでしょうか。実は、余語さんいわく、「日本の女性はビジネスファッションが苦手」なのだとか。その理由として考えられるのは、次の3つ。

●女性のためのビジネスファッション誌がない
●勤務先によっては制服がある
●ビジネスマナーは学ぶが、企業イメージや服装については学ぶ機会がない

 しかし、今は多様化するビジネス環境の中で「自分自身を理想的な姿に演出すること」が必要な時代です。

ビジネスファッションの目的は「信頼を得る」

 ビジネスファッションの軸となるのは「信頼感」。最も分かりやすい例を挙げるならば、「だらしない格好の人」と「清潔感あふれる人」のどちらに仕事を任せたいか。その答えは明白ですよね。

 「ビジネスファッションは職場におけるコミュニケーション力、信用力、競争力、昇進などにも影響します。働く女性が服装を考え、自分の魅力を可視化することはビジネスの成功にもつながるのです」

 たかが「ファッション」とあなどるなかれ! 「メラビアンの法則」によれば、人に影響を及ぼすのは服装や外見などの「視覚情報」が55%、話し方などの「聴覚情報」が38%、話す内容などの「言語情報」が7%だとも言われています。

「ビジネスファッションは職場におけるコミュニケーション力、信用力、競争力、昇進などにも影響します」と、余語さん。あなたのビジネスファッションは、大丈夫?
「ビジネスファッションは職場におけるコミュニケーション力、信用力、競争力、昇進などにも影響します」と、余語さん。あなたのビジネスファッションは、大丈夫?

ビジネスファッションの「マナー3原則」

 では、実際にどのような服を着たらいいのでしょうか。まずは次の「ビジネスファッション3原則」を知りましょう。

【ビジネスファッションの3原則】
(1)清潔感&好感があること
(2)企業イメージに合うもの
(3)働く女性として、将来像を示すもの

 「(1)はどの職場にも共通です。(2)は公務員や教育関係ならベーシック、ITやマスコミ系ならファッショナブル、と企業イメージにふさわしいものにしましょう。ホームページや名刺にどんな色やデザインを使っているかを見て、同じテイストのアイテムを取り入れるのもよいですね。企業イメージとリンクしたファッションは、転職時の面接にも役立ちますよ。(3)は、例えば20代の人が『早く仕事を任されるようになりたい』なら、信頼感がある服装を取り入れるといいと思います」

 ビジネスファッションに必要なのは、「自己満足のおしゃれ」ではなく「他者評価」。それでも何を着るか迷ったら、次の9つのポイントも意識してみましょう。

一般的なTime、Place、Occasion以外にも、意識しておくと良いポイントがあります
一般的なTime、Place、Occasion以外にも、意識しておくと良いポイントがあります

 単なる「T(Time)P(Place)O(Occasion)」だけでなく、さまざまなTPOに注目してください。「T」としては、着る時間帯(Time)、流行の取り入れ方(Trend)、業界や業種(Trade)のポイントがあります。「P」としては、場所(Place)、地位や役職(Position)、費用対効果(Performance)があります。また、「O」としては着る場面(Occasion)のほかに、着る機会(Opportunity)、自分らしさ(Originality)といったポイントにも気を配るといいですね。