人生の重要ステージとしての恋愛について真面目に考える連載「社会人の恋愛2.0」。今回は、互いに転職を経験していて、転職前の会社も、現在の勤務先も同じだという夫婦を取材しました。「社内恋愛はごく自然」だと言う二人の言葉の背景には、どんな思いがあるの――? 根掘り葉掘り聞きました。

女性:村山さくらさん(仮名)34歳
2回の転職を経て、現在は夫の和樹さんと同じ都内の大手IT会社に勤める。さくらさんは、同社で顧客情報の管理・分析業務に従事。

男性:村山和樹さん(仮名)40歳
さくらさんと同じ勤務先で、スマホアプリの運営を行う部署でグループマネージャーを務める。

同じチームの上司と部下から恋人同士に

 二人の出会いは、さくらさんが今のIT会社に転職する前。和樹さんとさくらさんは同じチームのメンバーで、上司と部下の関係だった。

 「前の会社は、とてもハードな会社でした。当時は、いわゆるベンチャー企業だったので、長時間労働もしばしば……。忙しいので、社外に出会いを探す、という機会も多くはなかった。彼女に限らず、同じチームのメンバーとは顔を合わせる時間も長く、当然、心理的距離も縮まりやすい。一緒にプロジェクトを進めたり、終業後に飲みに行って話したりするうちに、仲良くなりました」(和樹さん)

 その後、和樹さんのほうからさくらさんにアプローチをする。

 「最初は、『頼れる上司』という印象が強かったので、実は、特別な恋愛感情は抱いていなかったんです。ですが、お互いに考え方や価値観も似ている部分はありましたし、せっかく好きになってもらえたので、お付き合いを始めました」(さくらさん)

交際スタート後、さくらさんは別部署に

 交際が始まってからすぐ、さくらさんは別部署に異動することになる。「二人共同じチームにいた時は、交際のことは誰にも打ち明けていなかった」と言う。

 「上司と部下の関係である以上、周囲は当然、『フェアではない』と思いますよね。評価者と被評価者という立場だったため、良くも悪くもいろんなバイアスがかかってしまいます。なので、交際が始まった後は、二人で相談して、彼女に別部署へ異動してもらいました」(和樹さん)

 その後、和樹さんは現在の勤務先に転職する。

 「交際のことを周囲に打ち明けたのは、前職を離れてから。社内恋愛の場合は、自分たちの関係性が他者に影響を与える可能性もゼロではない。例えば、『○○さんと交際していた△△さんの同僚』『恋愛のあったチーム』と歪んで捉えられてしまうこともありますよね。同僚にそうした迷惑を掛けるのも嫌だったので、交際を口外することはありませんでしたね」(和樹さん)

さくらさんも和樹さんと同じ勤務先へ転職することに

 和樹さんが転職して、約半年がたった頃、さくらさんも転職を考えていたそう。

 「彼から、新しい職場の社風やビジョン、制度、事業内容など、さまざまなことを聞いているうちに、『私にも合っているのでは?』と思うようになったんです。その後、中途採用の面接を受け、転職することを決めました」(さくらさん)

 特に、「お互いが転職経験者の場合は、社内恋愛はごく自然」だと和樹さんは話す。「中学や高校は、自分の意思というよりは、地理的条件などで人と出会うことがほとんどですよね。ですが、社会人の場合、特に転職は『自分の意思』でいろんな決断をしているケースがほとんど。自分がどんなビジネスパーソンになりたいのか、何を求めてその企業で働きたいのかを、具体的に考えると思います。だからこそ、当然、価値観が似ている人が多く集まるし、似てくるんじゃないかと思います」(和樹さん)

同じ企業に勤める人の場合、価値観が似ている人も多い。社内の異性と交際に発展するのも、自然かもしれません(写真はイメージ)

 合コンなどで異性と出会う場合、相手の価値観をすぐに見極めることは難しい。相手がどんな会社に勤めているのか、どんなビジョンや目標を持って仕事をしているのか、土日休みなのか、年収はいくらか……ということは、逐一相手に聞かないと分からない。一方、勤務先が同じ相手であれば、話は早い。