仕事はできるのに、恋愛相手が探せない

 このとき豊嶋さんの中に芽生えたのが、「私、何で働いているんだっけ? 本当に仕事だけの人生でいいの?」。社内外の組織を見回すと、幹部女性の多くは独身。「私はパートナーと出会って私生活も充実させたいのに……」。30歳を前にしてアイデンティティーが揺らぎ、「こんな思いを抱いているのは私だけ? 私は理想のパートナーとどうやって出会えばいいの?」という思いが、どんどん強くなっていった。

 「仕事はうまくいっているのに、なぜ、こんなにしんどいんだろう?」――考えれば考えるほど根本的な原因を知りたくなり、その頃、通っていたMBAの大学院で、研究を始めた。「友人や知人をたどって同世代の独身女性たち約80人の本音を調査してみたんです。そこで分かったのは、業界や職種にかかわらず、仕事を頑張っている独身女性は、私と同じ悩みを抱えていました。自分の理想の相手となかなか出会うことができず、仕事では結果を出しているにもかかわらず、心が満たされなくて疲弊している女性が多かったんです」

独身女性の個人課題の解決が社会貢献に!

 「女性が社会進出することは、社会的な承認欲求を満たすという点においても、日本の労働力不足を補うという点においても、素晴らしいことだと思います。ただ、そのために女性の恋愛や結婚といったプライベートな側面が犠牲になり、私的な承認欲求が満たされないのはおかしい。それは、少子化問題にも発展しています。私自身も含め、独身女性の多くが抱えている個人的な問題は、社会課題にもつながっているんだと実感しました。『だったら、やりがいのある仕事とプライベートを両立できるようなサービスはつくれないのか。それが実現したら、社会貢献にもつながるのではないか』と思うようになったんです」