doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回、登場するのは「バチェロレッテ・ジャパン – シーズン1」でもおなじみ、黄皓さん。

バチェロレッテ参加の黄皓「積み上げ」リスクヘッジ起業 ←今回はココ
黄皓 初めは「雑用社長」 番組参加で見つけた強み

 上海に拠点を置く貿易会社の2代目社長として、また都内中心に10店舗構えるパーソナルトレーニングジム「BESTA」、ミラーデバイスでオンラインフィットネスプログラムを提供するスタートアップ「ミラーフィット」と3つの会社を経営する黄さん。

オンラインフィットネスプログラムを提供するスタートアップ「ミラーフィット」を2020年に立ち上げた黄皓さん
オンラインフィットネスプログラムを提供するスタートアップ「ミラーフィット」を2020年に立ち上げた黄皓さん

 17人の男性から一人を選び抜くという婚活サバイバル番組「バチェロレッテ・ジャパン シーズン1」では、そのスマートな立ち居振る舞いに、「超やり手の実業家」というイメージを抱いている人も多いだろう。

 しかし、29歳で会社を辞めて、父親の会社を継ぐことになったばかりの頃は、現在の姿は全く思い描いていなかったという。「30代のうちに年収3億を達成したい!というのが当時、唯一抱いていたビジョンです。いかにも会社を辞めてすぐのいきがった考えでしょう?」と笑う。

念願の海外駐在なのにモヤモヤ

 「子どもの頃はあがり症でした。人前に出るのも苦手なタイプだった。でも、今はおしゃべり大好きのセルフラバー(笑)。一番驚いているのは、両親でしょうね」

 生まれ育った中国から、16歳で来日。早稲田大学卒業後は新卒で三菱商事に入社した。2年目以降に出向していた子会社で勤務中の28歳の時に、メキシコへの海外駐在を言い渡された。

 「ビジネスが安定している欧米や東南アジアではなく、日本企業がまだあまり進出していないメキシコで仕事できることはとても光栄でした。海外駐在は僕自身の目標でもありましたから。しかし、いざ行ってみると、仕事をする場所がメキシコというだけで、やり取りする相手はほぼ日本人でした。日本の商習慣のまま、日本のビジネスを行う仕事のスタイルで、自分が想像していた海外駐在のイメージとは異なっていたんです。

 もちろん、言語や一定のビジネススキル、海外勤務という経験は積むことができます。休みの日には、近隣諸国に旅行に行くなど、充実もしていました。でも、30歳前後という貴重な時期を、この環境で『なんとなく』過ごしていてもいいのだろうか、と次第にモヤモヤし始めました

<黄皓さんの起業5つのdoors>1.事業家の父に勝ちたいという思い/2.リスクヘッジしてリスクをとる/3.コロナ禍で海外事例から学び、新事業に着手/4.SNSやネットワークを最大限活用/5.苦手な資金調達への挑戦、得た仲間