doors世代の起業家が事業を立ち上げるきっかけになる出来事は、さまざまだ。「バチェロレッテ・ジャパン シーズン1」参加でおなじみの黄皓さんは上海に拠点を置く貿易会社、パーソナルトレーニングジム、オンラインフィットネスのスタートアップと現在3つの会社を経営している。一見華やかに見えるキャリアの裏には、地道な積み重ねがあった。

バチェロレッテ参加の黄皓「積み上げ」リスクヘッジ起業
黄皓 初めは「雑用社長」 番組参加で見つけた強み ←今回はココ

勢いで起業したものの「雑用社長」に

 起業を決意してわずか3カ月で準備し、独自のコンセプトを打ち出したパーソナルトレーニングジム「Human Produce Salon BESTA」を設立、新たなキャリアを歩み出した黄皓さん。

 順風満帆かと思いきや、起業してすぐは、黄さんの目の前にありとあらゆる業務が山積みになった。

 「融資の依頼のために銀行に出向くと、黄社長って呼ばれる。びっくりするんですよね、慣れていないから。社長っていうと豪華な椅子に座って、『君、これやっておいて』って指示を出してるイメージじゃないですか。でも、一方で現実は……とても社長だとは思えないくらい雑用ばかりをこなす日々でした」

 商社勤務時代は数々の大型案件を受注し、仕事を回してきたが、アシスタントをはじめとするスタッフや同僚たちで構成されるチームがいたからこそ、業務が回っていたことをこの時、改めて実感したという。

 「まず『ネットの回線ってどうやって引くんだっけ』から始まりましたね。Wi-Fiの設定や経費精算、エクセルのフォーマット作り、備品の発注……会社員時代にはアシスタントにお願いしていた業務のすべてを自分でやらなくてはいけない。あまりにもやることが多過ぎて、心が折れそうになりました。でも、できないことをできないままにしておくのはどうしても嫌。一度やると決めたらやり切りたいタイプなんです。一つひとつ目の前のTO DOをつぶしていきました」

「僕の唯一の強みは『諦めが悪いこと』なんです!」
「僕の唯一の強みは『諦めが悪いこと』なんです!」
<黄皓さんの起業5つのdoors>1.事業家の父に勝ちたいという思い/2.リスクヘッジしてリスクをとる/3.コロナ禍で海外事例から学び、新事業に着手/4.SNSやネットワークを最大限活用/5.苦手な資金調達への挑戦、得た仲間

運ではなく「努力」でかなえる

 高校時代も1日2時間勉強するという習慣をずっと積み重ねて大学合格をつかみ取ったという黄さん。「『継続と反復で目標はかなうんだ』というのが、自分の中でのセオリーになっています」

 この習慣は、マーケティングや集客でも効果を発揮する。「口コミやSNSでの集客で勝負しよう」と、商社勤務時代には一切使ったことがなかったSNSを開始した。影響力のある友人にスタジオをトライアルで利用してもらったり、自らが試したりしながら、トレーニングの様子を毎日投稿し、インスタグラムを始めて1カ月半で5000人強のフォロワーを獲得していた。

 そのフォロワー数を10万人強にまで引き上げた転機となったのは、17人の男性から一人を選び抜くという婚活サバイバル番組「バチェロレッテ・ジャパン シーズン1」への参加だった。

 実は、プライベートでは、メキシコ駐在の直前に婚約破棄を経験。失意のまま赴任して激務に追われ、帰国後も父の会社を継いだり、新事業を始めたりして、仕事に専念していた。「人を好きになると大変過ぎて疲れてしまうから、出会いはあっても、本気の恋からしばらく目を背けていたんです」