独立した先輩を質問攻め

 秋元さんがまず取り組んだのは、ディー・エヌ・エーから起業、独立した先輩にヒアリングをすること。なぜ起業したのか、資金調達はどうしたのか、とにかく、分からないことをすべてぶつけてノウハウを聞き回った。同時に先輩のコンサルティング会社で週2回ほど働いて生活費を稼ぎ、残りの週5日間で起業準備を始めた

 「ベンチャー・キャピタルにも相談に行きました。当時はベンチャーキャピタルの存在も知らず、『親身に話を聞いてくれて、なんていい人なんだろう』と思っていたほどです。ただ、全否定されて泣きながら帰ったこともありますよ」

 「よく『9割の人がダメだというアイデアこそ斬新だ』というけれど、実際に9割の人に否定されたら、へこみます。事業が形になるまではつらかったですね」。

 農地のシェアリングエコノミーがいいか、それとも、家庭菜園のプラットフォームがいいか……。そうしてアイデアを醸成させながら、最終的に、新鮮な食材を農家から直接オンラインで販売するという事業内容を設定した。

 ところが、実際の起業までに、「資金」と「人材」という壁が立ちはだかる。

一人起業で農業変革 人材と資金の転機(下)」に続く

取材・文/三浦香代子 写真/鈴木愛子