さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。こだわりの野菜などの新鮮な食材を取り寄せられる「食べチョク」を運営している秋元里奈さん。社外の飲み会で出会った人の一言がきっかけで起業を決意し、事業アイデアも固まっていないうちに、新卒入社した会社を退職。起業の準備をする中で、「資金」と「人材」という壁が立ちはだかる。
一人起業で農業変革 人材と資金の転機(上)
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先輩の起業アドバイス 自分に合う選択は?
「食材のオンライン直売所を始めたい」という起業アイデアが思い浮かんだものの、形にするには「資金」と「人材」が必要だ。
起業家の先輩たちに尋ねても、それぞれに一理ある答えが返ってくる。「借り入れして、会社が大きくなったら返せばいい」「株式で資金調達するべき」「まず身銭を稼いでから、事業を始めたほうがいい」──。
「どうして、みんな意見が違うんだろうと真剣に考えていくと、結局、その人が決断して選んだ選択肢が答えになっていたんです。借り入れした人は借り入れが正しい選択肢だし、株式で資金調達した人は株式で資金調達するのが正解。つまり、AとBからAを選んだら、Aが正解と思って頑張るしかないんですよね。そこで私は、自分の企業理念をつらぬくのを最優先にしました。まず自分自身で事業の方向性を見定められるまでは、外部株主を入れずに進めようと考え、借り入れを選んだんです」