doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回は外部人材を活用したオンライン教育プラットフォーム「複業先生」などのサービスを提供するLX DESIGNの金谷智さんに話を聞いた。
前編 校長6代教員一家 教師目指すも業界への危機感から起業
後編 小学校の先生→起業 社会と学校をつなぐ「複業先生」 ←今回はここ
都内の公立小学校で先生として勤務するも、旧態依然とした学校現場に危機感を覚えた金谷智さん。日々の仕事に忙殺される中、理想を追い求めて周りの教員とも衝突するなど、自分には何ができるのか、模索が続いた。そして、金谷さんは、「テクノロジーをもっと活用すれば、教育現場は変われるはずだ」という思いから、3年半続けた小学校の先生を辞めて、起業家への道を歩き始めた。
起業の種が多過ぎた
起業当時を振り返り、金谷さんは「自分のビジョンが大き過ぎて、何から始めればいいのか分からなかった」と話す。
「起業の種がすごく多かったんです。教員をやっていたからこそ、課題をいろんなところに感じていました。例えば、学校の先生のコミュニケーションのあり方、情報共有の仕方、保護者とのコミュニケーション、教材の準備、子どもたちのメンタルケアや進路選択、教員採用などあらゆるところに課題があり、事業の種がありました。どれから着手すれば、一番効率よく、教育業界に変化をもたらすことができるのか、悩みました」
そこで、金谷さんは一つずつ試していった。
「現在もサービス提供中である教員志望者のための大学生向けゼミの他に、高校生向けの進路相談のサービス検証活動、学童保育でのプログラミング教室などさまざまなことにチャレンジしました。毎回『これはいける!』と思うのに、実際、事業として落とし込もうとすると時間ばかりかかって形にならず、なかなか思った通りにはいきませんでした」