doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回は英語学童・バイリンガル幼児園「Global Tree International」を新潟県で立ち上げ、秋田や仙台、東京で展開している岩崎ひとみさんに話を聞いた。
前編 念願の留学中に事故で帰国「人生終わった」からの起業 ←今回はここ
後編 新潟発・キャンセル待ちのグローバル校を作った33歳
英語が大の苦手なのに、英語教育分野で起業
2015年、26歳の時に、地元の新潟で英語学童・バイリンガル幼児園「Global Tree International」を立ち上げ、現在、新潟や東北を中心に5校を展開している、岩崎ひとみさん。昨年に日本一の文教地区といわれる東京都文京区の本駒込でスクールをオープンさせると、入校のキャンセル待ちが続く人気となっている。
「実は、英語がずっと苦手だった」という岩崎さん。「中学生の頃から、英語は一番嫌いな科目でした。大学時代まで、英語での意思疎通なんて全然できませんでした」
そんな岩崎さんが、なぜ、英語教育事業で起業したのか。一つの大きなきっかけとなったのは、大学時代に経験した留学だった。
高校時代まで新潟で過ごした岩崎さんは、跡見学園女子大に入学後、大学2年生のときに、米国・ミシガン州のアキナスカレッジで1カ月間の短期留学を経験した。
「大学では生活環境を学ぶゼミに入っていました。留学は、そのプログラムの一環でした。当時、アキナスカレッジには、ゼミの教授と親交のあるサスティナブルビジネス分野の第一人者の先生がいたんです。英語を学びに行くというよりも、生活環境を学べる授業を受けたり、現地の企業を見学したりするなど、ゼミの延長のような留学でした」
「私は必死に勉強に打ち込んだことがない」
当時、グアムやハワイへ海外旅行に行ったことはあったが、海外留学は初めてだった。そこで、自分の英語力のなさを痛感した。
「相手が何を言っているのか、さっぱり分からないんです。留学した1カ月の間、英和辞書をずっと引く生活を送りました。せっかく熱心に話をしてくれるのに、現地の人とほとんど意思疎通ができない。自分の語学力のなさを嘆くとともに、自分がこれまで勉強に向き合ってこなかったことを痛感したんです。多くの人は、高校・大学と受験を経験していると思うのですが、私はすべて推薦入学。とにかく必死に勉強に打ち込む経験が、周りと比べて少ないんだとなと実感しました」
初めて経験したこの挫折で、岩崎さんは意を決し、帰国後すぐに、本格的な英語の勉強を始めた。