doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回は英語学童・バイリンガル幼児園「Global Tree International」を新潟県で立ち上げ、秋田や仙台、東京で展開している岩崎ひとみさんに話を聞いた。

前編 念願の留学中に地方へ帰国「人生終わった」からの起業
後編 新潟発・キャンセル待ちの英語学童を作った33歳 ←今回はここ

26歳のときに、英語学童・バイリンガル幼児園「Global Tree International」を立ち上げた岩崎ひとみさん
26歳のときに、英語学童・バイリンガル幼児園「Global Tree International」を立ち上げた岩崎ひとみさん

新潟で18畳の教室からスタート

 「もし、自分が子どもを持つことになったら、インターナショナルスクールに通わせたい」――そんな自分の将来のビジョンと地元新潟での選択肢の狭さを課題に感じていた岩崎さんは、意を決して会社を辞め、スクールの立ち上げに着手した。

 「埼玉県のとあるインターナショナルスクールでノウハウを学んだあと、米国にある多言語でイマージョン教育を行っている幼稚園へ研修に行きました。いろいろなスクールを見て回り、だんだんと自分の理想とするスクール像ができてきました」

 そして、2015年、地元・新潟でスクールオープンの準備に取りかかった岩崎さん。新潟市の市街地ビルの一画、18畳の狭い教室からスタートさせた。

なるべくお金をかけない工夫

 「18畳の教室の改装は業者には頼まず、兄や友人に手伝ってもらいました。私は工業高校出身なのでインテリア系は得意なんです。壁の張り替えや塗装、床張りや手洗い場の設置も自分たちでやりました。ホームページやWeb広告も自分で作って、初動はなるべくお金をかけずにスタートさせました」

 立ち上げメンバーは岩崎さんを含めて3人。

 「知り合いに小学校や中学校でALT(外国語指導助手)として働き、評判がよく、英会話教室でも活躍している米国人の先生がいました。いつも彼が話していたのは、『英語をどれだけ一生懸命教えても、日本の子どもたちが全然上達していかない。時間が圧倒的に足りない』と。 では、『子どもたちが英語を話せるようになるスクールを立ち上げるから講師をやってくれないか』と話し、意気投合してスクールの立ち上げメンバーに誘いました。もう1人、日本人のベテラン保育士さんを探して、3人で始めました。かつて事務職だった経験を生かし、経営の他に事務など、何でもやりました