高校生イベンターとして活躍

 高校2年生のときに、ひとりでライブハウスに直接交渉をし、バンドと観客を集めて、見よう見まねで企画した初のイベントは見事成功した。当初は「高校生なんかにできるのか?」と懐疑的だったライブハウス側からも、バンドも人も集められると話題になったことで、次第に高校生イベンターとして認知されるようになった

 「ライブハウス業界は多少ルーズでも許される世界なのですが、僕はきっちりビジネス視点で対応することをポリシーにしたくて」、学生ながらスーツで営業。出演するバンドや観客にも丁寧なサポートやサービスを心がけた。

 とはいえ、順調なことばかりではなかった。あるときは、大きなコンテストとバッティングして、直前までバンドが全く集まらない状況に。「Twitterで100バンドくらいに声をかけまくって、なんとか乗り切りました。この頃から、ビジネスはリスクがつきものだと意識するようになりました」

失敗を通して学んだリスクテイク

 リスクを取ることに覚悟を持つこと、そして、リスクが起きたときに真摯に対応する姿勢、ビジネスに資金や人を投資するタイミングの見極め方。高校生ながらに数々のピンチを経験しながら、ビジネスの基本を体得していった。

「ビビッてリスクを取れなくてビジネスチャンスを逃したこともあります。だからこそ、リスクを取ることの大切さを実感しています」
「ビビッてリスクを取れなくてビジネスチャンスを逃したこともあります。だからこそ、リスクを取ることの大切さを実感しています」

 大学では経営学を専攻。「学んだ経営理論をイベントの運営に応用、アルバイトスタッフを数人雇いながら、起業家と大学生の二足のわらじ生活を楽しんでいました」。ビジネスは順調だったが、最も苦労したのはスタッフの人材育成だ。

 「僕は、ライブハウス、バンド、イベント主催者(自分たち)の 『三方良し』で、仕事をすることが成功の秘訣だと思っていたんです。でも、自分と同じように考えて営業してくれる仲間がなかなかできなかった。そもそも、みんな学生だったり、バンドを中心に生活していたりするから、仕事はあくまでバイト感覚。僕だけモチベーションが違ったんです」

 このとき学んだのは、「上からいくら押し付けても人はついてこない」ということ。「ああしろ、こうしろと指示を出すよりも、僕が目指す世界観を語ることでビジョンを共有してもらったほうが、人は動いてくれるんだなと気づきました