「ウェディングプランナー時代から、頭のなかのアイデアは真っ白な紙に書き出すようにしているんです。『Stay Home Wedding TOKYO』という事業名もパッと浮かんできました。親友のお祝い会で分かったのは、結婚式はオンラインに形を変えてもできるということ。

 核となる部分は、新郎新婦が大切な人たちと心からつながること。そのためにはどんな段取りにすればいいのか、何を準備すればいいのか──頭に思い浮かぶことを書き尽くしました」(高村さん)

これが高村さんの妄想帳。大きなスケッチブックに余白がないほど、書き込まれている
これが高村さんの妄想帳。大きなスケッチブックに余白がないほど、書き込まれている

 できたてのアイデアを写メに撮り、姉である黒田さんにLINEで送信。パッションあふれるメッセージを受け取った黒田さんの返事は「いいね! やろう!」。即答だった。

 「妹の妄想ノートの濃厚さと思いの強さに驚きましたね。同時に、これは、誰かがやらなければならない事業だと思いました。私は今の会社で3回目の起業ですが、起業して軌道に乗せるには『強い思い』が一番大切だということを実感していたからです」(黒田さん)

ビジネスパートナーとして信頼できる

 とはいえ、姉の黒田さんも「身内だから」といって甘いジャッジで高村さんのアイデアを採用したわけではなかった。

 高村さんは3社でウェディングプランナーを務め、社長賞をもらうなど一流の結果を出していた。何百万円という高額な費用がかかる結婚式でも8割、9割の成約率を誇っていた。

 また、過去に黒田さんが心血を注いで立ち上げた事業の共同経営の代表を降りることになり、築き上げた人脈やノウハウを手放し、現在の「WOMAN COLLEGE」をゼロからスタートさせた時も、「完璧な仕事ぶり」を発揮して、設立記念イベントを大成功に導いてくれたという。

 「純粋に『ビジネスパートナーとして信頼できる』という部分が一番でした。ただ、妹が優秀なウェディングプランナーとして土日関係なく働き、新郎新婦のためにプライスレスで尽くし、頑張れば頑張るほど体が追いつかずに退職……という経緯を知っていましたので、再び力を発揮できる場をつくれるなら、姉である私が動こう、と」