1社だけ面接を受けた

 「卒業後はこのままどこかのスタートアップにジョインしたり、もしくは自分のやりたいテーマが見つかったら起業したりするのがいいかも……といった曖昧なビジョンを持っていました。いろいろなところに顔を出して可能性を探る中、友人がサイバーエージェントに入社して活躍している話を聞きました。今から10年以上前、インターネットの可能性がどんどん広がっている時代で、サイバーエージェントもよりベンチャーカラーが強かった時期かと思います。

 アクティブに若手を育成して抜てきしていく、新しいものをインターネットで生み出していくというカルチャーが魅力的でした。この会社なら、起業家に近いようなマインドで働いている人がたくさんいそうと思い、サイバーエージェントだけ受けました。内定をもらえなかったら、自分で起業したり、他の事業を立ち上げようとしている友人についていったりしようと思っていたんです」

「今考えると、そんないちかばちかで大丈夫かと普通は不安ですよね(笑)。でも、『なんとかなる』という根拠なき自信があったんです」
「今考えると、そんないちかばちかで大丈夫かと普通は不安ですよね(笑)。でも、『なんとかなる』という根拠なき自信があったんです」

「仕事が楽しくて寝るのがもったいなかった」

 サイバーエージェントに入社後、配属されたのはスマートフォンのインターネット広告代理店事業を担うCyberZ。入社1年目の終わりには新規事業を立案し、チームを組み立てるなどリーダーを任された。

 「当時『次にYouTuberが来る』と感じて、YouTuberのマネジメントや新しいタレントの育成をして、彼らを起用した広告モデルをつくったり、YouTubeの広告効果の測定のためのツールを作成したりすることを考えて草案をつくりました。この新規事業の計画や人集めを任され、社内起業に近い環境で働くことができました。世の中の空気感を自分なりに読みながら事業をつくっていくことに、ものすごく大きなワクワクを感じました

 東京・渋谷にあるオフィスから近くのマンションに住み、仕事に没頭する日々を送った。

 「夜と昼の境がないような感じで夢中になっていたので、寝るのがもったいなかったですね(笑)。サイバーエージェントは若手育成のカルチャーが強くて、げたを履かせてもらっていたので、背伸びしながら必死でしたけど、本当に楽しくやりがいがありました」

 その後、インターネットとは真逆にある“リアルな熱狂”を求め日本最大のファッションショー「東京ガールズコレクション」を運営するW TOKYOに転職した。