最前線のエンターテインメントづくりに惹かれる

 「サイバーエージェントでも、まだまだやるべきことや学ぶべきこと、成果としてお返しすべきことはあったのですが、自分の経験の幅を広げたいと思っていました。W TOKYOは東京ガールズコレクションを10年以上続けています。ファッションショーというある種クラシカルなことを淡々とやり続けている会社。その一方で、イベントの内容を半年に一度がらっと変えていく。最前線の日本のエンターテインメントをつくっているところにすごくワクワクしたんです」

若い世代にアートを広げたい

 転職後、偶然にももともと好きだったアートの世界に改めて触れるようになった松園さん。

 「W TOKYOでの仕事の一つに国内最大級のアートフェアプロジェクトがたまたまありました。アーティストとのコラボレーション作品の制作など、若い世代の人たちアートを広げていくことを目的としたプロジェクトに2年連続で携わりました。東京ガールズコレクションに来るような若い人たちにどうやったらアートと縁を繋げられるだろうか、カルチャーとして行き渡るだろうかという視点とともに、その時に改めてアートマーケットについて真剣に考えました

 そこで、日本のアートマーケットにおける課題や市場規模などをリサーチし、一般の人たちにアート文化が浸透していない現状を痛感した。

一般の人たちにアート文化が浸透していない

 「『アート』というと、例えば購入することを考えると、富裕層の方々がどこかクローズドな場に集まって、高額の札を挙げているみたいなイメージもあると思います(笑)。実際、現状は流通においては富裕層メインの市場になっていて、マスには購入文化は届いていないんです。マスに届いていないと、アート業界に携わる人たちもインターネットをわざわざ使って一般消費者向けのサービスでやる必然性もなくなってくる。富裕層向けであればアナログでヒューマンタッチなコミュニケーションでも成立することが多いですよね。この一般の人たちに広がらないという構造に、課題と同時にチャンスを感じました