doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回はアート作品の共同保有プラットフォームを運営する「ANDART」(アンドアート、渋谷区)を立ち上げた松園詩織さんに話を聞いた。
前編 松園詩織 アートのシェアサービス 速攻で起業決意 ←今回はここ
後編 松園詩織 2.8億円調達 強みはチャレンジ精神
約1万4000人の会員を持つ
パブロ・ピカソやアンディ・ウォホールといった世界の巨匠から、今をときめくKAWS(カウズ)やバンクシーなどの新進気鋭のアーティストの作品のオーナーになることができる所有権を小口化し販売するANDART。1枠1万円からで、オーナー権を購入した作品オーナーにはデジタル証明書が発行され、デジタル空間でコレクションを持てる機能や実際に作品を鑑賞できる機会などさまざまな優待が得られる。現在は20~40代の男性を中心に約1万4000人以上の会員がいる。
小さい頃から「アートが好き」
小さい頃からアート作品が好きで、展覧会や美術館に行くことが多かったという松園さん。
「学術的に作品やアーティストの歴史を深く学ぶわけではなく、鑑賞することが中心の一般的な『趣味』の範囲内でした。専門学校や美術大学への進学を考えたり、関連する職業に就いたりするのは選択肢として考えたことはなかったですね。
一方で、モンテッソーリ教育(自己教育力を高める教育法)を受けてきたことや経営者である父の影響もあったのか、好奇心旺盛で何か新しいことを起こすことへの興味関心や熱量というのは強いほうでした」
起業は手段
大学では国際文化教養学部に入り、興味のあった日本文化や民俗学を学んだ。また、自然と学生起業家の友人に恵まれ、スタートアップ企業の手伝いをするようになった松園さん。
「当時、学生起業家がたくさん生まれ始めていたタイミング。学生起業家の友人同士で自然とコミュニティーができていたので私もそこに参加して、幸運にもたくさんの起業家と繋がれました。その時から私の中で『起業』はナチュラルな選択肢になりました。自分のやりたいテーマを見つけることができ次第、その実現の手段として、起業してみたいという気持ちが芽生えたんです」
起業への思いはあったものの、就職活動をスタート。サイバーエージェントの1社だけを受け、内定をもらった。