doors世代の起業家たちは、いつ事業のアイデアを考え、どうやって起業までたどり着いたのか。何につまずき、何が転機となったのか。起業の先にどんなドアを開こうとしているのか。さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。アート作品の共同保有プラットフォームを運営する「ANDART」(アンドアート、渋谷区)を立ち上げた松園詩織さんに話を聞いた。

前編 松園詩織 アートのシェアサービス 速攻で起業決意
後編 松園詩織 2.8億円調達 強みはチャレンジ精神 ←今回はここ

仮説を立てては潰していく

 起業を速攻で決意した松園さんだったが、アートを誰もが共同保有できるようなサービスが当時日本では見当たらず、サービス内容を一から模索することになった。

 「着想した時点で調べたら、アートシェアのサービスは世界でもめずらしかった。そもそも、『アートを買う』というイメージが湧いていない人に対して、さらに新しく『アートをシェアする』ことを伝えないといけない。難易度が高いことは覚悟していましたが、ニーズがないところで空回りしているのではないか、本当に日本では流行るのかと悩みました」

 サービス内容の仮説を立てては潰していくという途方もない作業に明け暮れた松園さんだったが、アート業界での創業には勝算があった。