さまざまなフェーズに立っている注目の起業家を取材する連載「起業 NEXT doors」。今回は、ブライダルチェックで自分の妊よう力を知り、26歳のときから始めた不妊治療経験がきっかけで、ウーマンウェルネスブランド「Ubu」を立ちあげたMEDERI(メデリ)代表の坂梨 亜里咲さんに話を聞いた。坂梨さんの起業5つのdoorsとは?
坂梨亜里咲 年収ではない自分基準のイケてる感を求めて ←今回はココ
坂梨亜里咲 26歳から始めた不妊治療きっかけで起業
パッションを持てるもので起業したい
女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスを指す「フェムテック」が注目されてから久しい。月経や妊娠にまつわるサービスやプロダクトが群雄割拠でそろうなか、2020年3月にリリースされたのは、妊娠に必要な栄養を厳選したサプリメントや、感染症や妊娠に影響があるとされる膣内の菌の状態を自宅で簡単にチェックできるキットを販売する「Ubu」。目指すのは、女性の妊娠する力、「妊よう力(にんようりょく)」に対する知識の向上だ。
「Ubu」を立ち上げたのは、MEDERIの坂梨亜里咲さん。この事業を始めるまでは、EC事業やウェブメディアなどで仕事の経験を積んできた坂梨さん。だが、「起業しようと決めたとき、とにかく自分自身がパッションを持てるものに取り組みたかった」と語る。
アイドルやアナウンサーになりたかったが…
坂梨さんは、幼少期の頃から、「常に何かにまい進していないと、逆に落ち着かないタイプだった」という。
「小さい頃からずっとアイドルになりたくて、幼稚園、小学校時代は地元の芸能事務所に所属しながら、民謡やクラシックギター、ダンスなど毎日のように習い事に通う日々を過ごしていました。子どもながらに『何か芸がなければ芸能人になれない!』と考えていたんです」
ところが、中学生になるとハリー・ポッターが流行し、エマ・ワトソンが演じるハーマイオニーが憧れの存在に。「勉強熱心で自立した彼女をまねて、がむしゃらに勉強に励み、成績も次第に上がり、学年トップクラスになりました。当時、高学歴の女性タレントが活躍し始めたころで、将来の夢も、アイドルからアナウンサーに変わっていきました」
「ただ、アナウンサーになりたいという志望動機も、ただ『表に出たい、目立ちたい』という不純なものだった」と振り返る坂梨さん。大学進学後はアナウンススクールにも通ったが、「アナウンサーになって、自分から発信したいものが特にあるわけでもなく、就職活動はことごとくダメでした」