doors世代の起業家が事業を立ち上げるきっかけになる出来事は、さまざまだ。2020年3月にウーマンウェルネスブランド「Ubu」を立ち上げたMEDERI(メデリ)坂梨亜里咲さん。坂梨さんは、26歳のときにブライダルチェックを受けたことが起業の大きなきっかけとなった。坂梨さんの起業へのパッションはどのように生まれたのか。

坂梨亜里咲 年収ではない自分基準のイケてる感を求めて
坂梨亜里咲 26歳から始めた不妊治療きっかけで起業 ←今回はココ

 妊娠に必要な栄養を厳選されたサプリメントや妊娠や感染症に影響のある膣内の菌の状態を自宅で簡単にチェックできるキットを販売するウーマンウェルネスブランド「Ubu」を展開するMEDERI(メデリ)代表の坂梨 亜里咲さん

 前職はスタートアップでメディアの立ち上げに携わり、社員4人の時代から事業を急成長させた。そして、26歳で子会社の社長としての座を手にするが、半年後にはそのポジションを手放すことを決意し、退任後、フェムテック分野で起業。その背景には、自らの原体験があった。

 坂梨さんが、20歳のときに立てた目標は、25歳までに一人前の社会人になること、27歳までに結婚すること。そして、30歳までに1000万円を稼ぎ、子どもを産むことだった。しかし、彼女は予想もしない現実に直面することになる。

子どもが産めないかもしれない

 「私はいつも10年単位で、将来の計画を細かく立てていたので、30歳での出産に向けて逆算し、26歳でブライダルチェック(出産を希望している人が受ける妊娠に関する婦人科系の検査)に行ったんです。そうしたら、その時に受けたAMH検査(卵巣内に残っている卵子の数の目安を調べるための血液検査)で卵子の数がかなり少ないことが分かりました。早発閉経(閉経するとされる年齢より前に閉経すること)と診断されたのです」

「普段から、生理不順を解消するためにピルやホルモン剤投与で10年近く、婦人科に通っていた私はリテラシーも高いはずなのに、自分が不妊の可能性があることには気づけませんでした」
「普段から、生理不順を解消するためにピルやホルモン剤投与で10年近く、婦人科に通っていた私はリテラシーも高いはずなのに、自分が不妊の可能性があることには気づけませんでした」

 20歳のときに立てた将来の目標が、たった一つだけ、しかも一番大事にしたいものがかなえられないかもしれない。坂梨さんは、26歳で不妊治療をスタートさせた。

<坂梨さんの起業 5つのdoors>1.スタートアップで学んだ経営者像/2.課題解決のスピードと行動力/3.後悔から生まれた強い使命感/4.当事者意識で作ったプロダクト/5.共感と応援を引き寄せるパッション