「結婚相談所に登録しているのは保守的な男性が多いから」という理由で、「年収や学歴は出さないほうがいい」「料理が趣味と書いて」と言う婚活コンシェルジュからのアドバイスに違和感を抱いているY子さんに、恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之代表は「Y子さんは何も悪くない」と答えます。その背景や言葉の意味を丁寧に考える、(下)編です。

婚活相談所の偽りの演出アドバイスに納得いかない(上)
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 結婚相談所で、「ここに登録しているのは保守的な男性が多いからと、自分の仕事や年収、学歴についてあまり出さないようにというアドバイスをもらった」というY子さんの相談。

 この「保守的な男性」という言葉について、考えたいと思います。

「僕よりも年収や学歴の高い女性はちょっと引いちゃうからパス」――こんな男性と果たして結婚したいでしょうか 写真/イメージ
「僕よりも年収や学歴の高い女性はちょっと引いちゃうからパス」――こんな男性と果たして結婚したいでしょうか 写真/イメージ

「永遠の微調整」を重視するのが本来の「保守」

 そもそも「保守的」とは主に政治の分野で使われる言葉です。保守には「右翼」、つまり愛国的であったり、ときに排外主義的なイメージが付きまといますが、政治学者の中島岳志さんは著書『保守と立憲――世界によって私が変えられないために』(スタンド・ブックス)の中で、保守が重視するのは「永遠の微調整」であると述べています。

 いわく、人間も社会もいかんともしがたい時間的変化にさらされ続けるため、それを受け入れていかざるを得ない。さらに、人間も社会も不完全な存在なので、永遠に完成することはない。なので、人間の理性や知性に対する疑いの目を持ちながら、他者の声や、歴史の風雪に耐えてきた知見などにも耳を傾けながら、微調整するように変化していくのが望ましい──。これが保守の本質だというわけです。