「結婚する約束もなく、今から彼と同居を始めたら、ずるずるして私の市場価値が下がるんじゃないだろうか……」――付き合った彼と一緒に暮らし始めることがいいのか悪いのか、決断しかねているというR子さん。今の関係は楽しいのに、なぜか将来を考えるとポジティブになれない。そんなR子さんの複雑な気持ちを、桃山商事の清田隆之さんが因数分解します。

いい年して結婚を前提としない同棲ってどうなの?(上)
いい年して結婚を前提としない同棲ってどうなの?(下) ←今回はここ

 将来のことを真剣に考えていなさそうな彼から「一緒に引っ越そうか」と言われ、決断できないままでいるR子さん。「いい年だし。今から一緒に暮らしたら、私の恋愛・結婚市場価値が下がるかもしれない」と将来に対して不安を抱いています。

合理的な選択はとても大事なことだけど

 相談文には、R子さん自身が〈ふと「一緒に暮らしたいなー」と軽い気持ちで言った〉とあり、この問題を考えるための手掛かりになるかもしれません。

 ここからは個人的な推測になりますが、27歳といえば、多くの女性たちが口にするように「妊娠のリミット」を少しずつ意識し始め、恋愛や仕事、人間関係や自己実現など、人生のさまざまな問題について問い直す時期ではないかと思います。

 数年先のことを見据え、逆算しながら今すべき行動を導き出している女性の話もよく耳にしますが、もしかしたらR子さんもそれに近い状態にあるのかもしれない。

 時間を無駄にしないよう、また後悔のない選択ができるよう、常にPDCAサイクルを回しながら正しい道を進んでいくのはとても大変なことです。〈他の人にスイッチするコスト〉や〈恋愛・結婚市場価値が下がる〉ことを気にかけているのも、そういった背景と無関係ではないように思います。

 R子さんの言葉は全体的に論理的かつ合理的ですが、そんな中にあって〈ふと「一緒に暮らしたいなー」と軽い気持ちで言った〉という部分だけはやや毛色が異なります。ここだけ理由や目的がよく分からないし、それに対する彼の「一緒に引っ越そう」という返答もやや軽率に響く。