ステレオタイプに苦しんでいるのは、女性だけではない

 フェミニズムに関心がある人なら既にご存じでしょう。2014年にエマ・ワトソンが国連本部で行ったスピーチは、多くの人にとっての「フェミニスト」へのイメージを変えたエポックメーキングな出来事となりました。

 「どうしてフェミニズムが不快な言葉になってしまったのでしょう?」

 彼女はそう呼び掛け、ジェンダー平等について演説しました。

 このスピーチの素晴らしいところは、フェミニズムを男性にも語りかけたことです。それも「私たち女性の苦労を分かってほしい」といった歎願ではなく、「フェミニズムは男性であるあなたたちをも救う概念である」と視点を変えるよう促したこと。スピーチの中で彼女はこのように語っています。

<エマ・ワトソンが国連で行ったスピーチの一部>

・ 父親は、母親と同じくらい家庭の中で大切な存在なのに、役割を軽んじられる
・ 精神病に苦しんでいても、「男らしくない」と思われることを恐れ助けを求められない
・ 男性の成功というゆがんだ理想像によって、男性自身が不安定になっていく

 そう。ステレオタイプに苦しんでいるのは、女性だけではないのです。性別による役割やイメージから私たちを解放するのがフェミニズム。男性だって正社員でずっと働き続ける必要はないし、筋肉をつけないとモテないとか、性に合わないリーダーシップを発揮しなくてもいい。