「当たり前」を「当たり前」として扱う姿勢を示したい

 2019年3月に1周年を迎えた「BLAST」。インスタグラムやTwitterなどのSNSを通して、社会問題からセックスまで多様なコンテンツを発信しています。これまでのメディアは年齢やファッションのジャンルで区切るものが多かった中、「思想」でつながるメディアを作りたいと立ち上がったのがBLASTでした。そこにはリナさんのこんな思いが。

 「最近、日本マジかよって思うニュースが多いですよね。性犯罪の無罪判決も、『SPA!』の特集も、政治家の発言も。こないだ何かの記事で、アメリカの男女格差が埋まるのは2世紀後だっていうのを見て、もう笑っちゃったんですよ。アメリカで2世紀だったら、日本はプラス何世紀かかるのって。

 私個人の幸せを追い求めるなら、もう海外に行っちゃったほうが早いですよね。仮に女の子を産んだとして、その子の幸せのためにも海外に行ったほうがいいと思ってしまう。それくらい絶望的なことが多いんです。でもそれって悲しいことですよね。私も友人も大切な人たちも日本に住んでいる。誰かが旗振り役にならなきゃいけないよなって。そう思っていたところに、出資してくださる方々との引き合せがあり、BLASTを立ち上げることになりました」

 BLASTの設立から1年がたちますが、色使い、コピー、モーショングラフィック、どれをとってもハイセンスで、ビジュアルには作り手のこだわりが感じられるものばかりです。

「BLAST」公式サイト
「BLAST」公式サイト

 「社会問題も体のことも、自分たちの問題だから。敬遠されがちな性犯罪や病気の話を自分ごと化してもらうためにはどうしたらいいんだろうと考えたとき、伝え方は絶対にかっこよくしたいと思いました。例えば、世の中には素晴らしい活動をしているNPOやコミュニティ、企業がたくさんあるのに、なかなか影響範囲が広がらないという課題があると思います。それはきっと、自分との結びつきが弱いから。BLASTはデザインや映像の力でそこを乗り越えていきたいと思いました」

 お店で洋服やアクセサリーを手にとると、私たちは鏡に映して似合うかどうかを確かめてみます。同じように、気軽に社会問題に触れて、自分ごととして考えてほしいという思いが「BLAST」のオシャレなビジュアルに表れています。自分らしさに気付くためには、まず「知る」ことから始まる。

 さらに「BLAST」では、生理や避妊用ピル、セルフプレジャー(マスターベーション)といった、秘められたトピックにも積極的に切り込んでいます。

 「性的なことって、聞きたいけど聞けないことが多かったんじゃないかな。BLASTでは、タブーを作らないようにしています。伝え方一つとっても、きっと他のメディアなら『セルフプレジャーって恥ずかしいこと? 恥ずかしいことじゃないよね』って文脈で始まると思うんですけど、BLASTはそこはすっ飛ばしちゃってるんです。恥ずかしいことか否かの議論は不要なので、当たり前のことを私たちが当たり前として扱うって姿勢が重要だよなと思って

 続いて、日本のジェンダーギャップを是正していくためには何が必要なのかについてお聞きしました。