声を上げた人を、独りにさせないこと

 アクティビストのように声高らかに発信することは難しいかもしれない。それでも、私たちにはできることがあります。それは、声を上げた人を後押しすること。

 「大人が次世代の未来を創っていかなくちゃと思う一方で、若い子たちのパワーに気付かされることもあって。Z世代の子たちって、社会問題に関わることへの抵抗がミレニアル世代より薄いですよね。『SPA!』問題に抗議した山本和奈ちゃんも大学生だったけど、彼女が声を上げてくれるまで、どこか麻痺しているところがあったと思うんです。『またしょうもないことをやってるよ~』とスルーしてたところがありました。彼女のおかげで、ハッとした人は私以外にも多かったんじゃないかな。私たちは、ああいう子を独りにさせちゃいけないんです

 リナさんはBLASTを立ち上げた1年で、わずかながらも変化を感じていると話します。

 「同じ思いを持っている人からDMが来たり、フェミニズムの投稿が増えたり、BLASTに後押しされてエシカルなビジネスを始めましたって話も聞きました。牛歩の歩みだけど、確実に変わっている実感はあります。一人ひとりの女性を覚醒させることが私のミッション。BLASTで知って、そこから生き方を選ぶ人が増えるように、働きかけられたらいいなと思います」

 待っていても、勝手に未来は変わってくれない。男性の手によって男性社会が変えられるのを待つのではなく、女性自身がどうしていきたいのかを示さないといけません。大学入試の不平等にも、雇用機会の不平等にも、理不尽な常識にも、納得のいかない判決にも、怒っていいんです。

 フェミニズムに関して発信していると、ムカつく思想にもたびたび遭遇してしまいます。それらに心を打ち砕かれながらも、欲しい未来を実現させるためには声を上げること。SNSのイイネでも、署名でも、noteを書くでも。その声のボリュームにかかわらず、たくさんの声が集まることが生きやすい世の中への第一歩になるのではないでしょうか。

取材・文/ニシブマリエ 撮影/田上浩一