日本テレビの記者、キャスターを務めていた鈴木美穂さんは24歳の時に乳がんを患います。闘病生活、社会復帰を経て、自分らしい生き方を模索します。悲しみ、不安、葛藤、苦しみを経験したからこそ発見できた自分の使命。これまでの道のりについて語ってくれました

前編 がんは私に多くのことを教えてくれた ←今回はここ
後編 私の道はつながっていた――がん患者を支援したい

仕事を辞めて世界一周の旅に出る

 私は今、新しい人生の旅に出るため、準備を進めています。13年間勤めた日本テレビを退職し、5月から夫と夢だった世界一周の旅に出発します。1年かけて、世界のさまざまな場所を訪れて、いろいろなことを肌で感じたいと考えています。大学卒業後、記者として働き始めた頃には想像すらできなかった、ワクワクする毎日です。

 私の人生が、こんな予想外の方向にかじを切った大きな要因の一つが、「がんを患った」ことにあります。本気で死ぬかもしれないと考え、生きることだけを望んでいた日々があったからこそ、思いっ切り生きて自分のやりたいことを全部やっていきたい。仕事を辞めることに不安もありましたが、かねて夢だった世界一周の旅に出ることにしました。