試練を乗り越え、拠点を香港・台湾へ

 この時点で、中国本土の関係者とのつながりがほぼゼロになってしまいました。華僑の友人に相談したところ、「ここまで実績を作ったのだから、ここでやめてしまうのはもったいない。拠点を香港に移してみては?」とアドバイスをもらいました。

 そして2013年1月、拠点を香港に移し、2016年からは台湾でもお仕事をしています。幅広くお仕事をしていますが、記者発表会やイベント、観光雑誌の特集企画、旅行商品の企画・造成など、いろんな手法を使って日本の観光地の魅力を伝えたり、商品をPRしたりしています。2013年には、「夜景サミットin香港」を開催するなど、自分の中で一つの大きな成功体験も積むことができました。

「夜景サミットin香港」の様子。夜景応援大使の方々と一緒に撮影
「夜景サミットin香港」の様子。夜景応援大使の方々と一緒に撮影

 その後は、北海道、東京、中部北陸地方、淡路島、九州地方、壱岐・対馬・五島列島・屋久島などの魅力発信や、夕張メロン、紀州梅、日本産の和牛など、「日本の旅と食」のPRとマーケティングを手掛けています。

 特に最近多いお仕事は、調査リサーチの案件。海外に魅力を伝えたいと思っている自治体や企業から「現地の人はどんなサービスや商品を好むのかを調査してほしい」という依頼が増えていますね。

信じてくれる人がいるから頑張れる

 これまで、いろんな試練に直面してきましたが、そこで頑張れたのは、私のことを信じて仕事を任せてくれる方たちがいたから。会社勤めをしていたときは、自分個人の力ではなく、会社のブランドがあったからこそいろんな仕事を任せてもらえていました。いざ一人でビジネスを始めると、自分たった一人の実績は、最初は何もないんです。一つひとつ、実績を積み上げてきました。

 私は「挑戦」が好きなので、新しい企画にチャレンジすることが多いのですが、その度に「何が何でも成功させます!」という思いをまずはお伝えしてきました。もちろん、その言葉の裏であらゆる準備をしているのですが、その言葉を信じてくださった方たちがいるからこそ、たくさんの実績を積み、成長することができました。

 実績以上に証拠になるものはありません。私を信じて仕事を任せてくださった方々に対して、「小松崎さんを信じてよかった」と、今後も思っていただけるように、必ず成功させるという信念は今後もずっと変わりません。

周りの期待に応えたい。その信念を大切にしてきたからこそ、信頼してくれる人がたくさんできました
周りの期待に応えたい。その信念を大切にしてきたからこそ、信頼してくれる人がたくさんできました

自分磨きへの第一歩は「視野を広く持つこと」

 「視野を広く持つこと」をモットーにしていますが、どんな仕事でも大切なことだと思います。忙しいと、つい目の前のことしか見えなくなることもあるかもしれませんが、意外と全く関係ないと思っていたことが実はつながっていた、ということをこれまでにたくさん経験してきました。

 「自分には関係ない」「興味がないから必要ない」「必要性がないから知らなくてもいい」と思ったら、その人の成長は止まってしまいます。何事にも興味を持って、いろんな業界やいろんな国の人と話して、理解しようと努力することで、自分の世界を大きく広げることができるはずです。

取材・文/浜田寛子(日経doors編集部) 写真/鈴木愛子