意識して増やすべきは魚・卵・大豆・緑黄色野菜

 働く女性は忙しく、調理をする時間はなかなかとれない。そのため、食事は外食やコンビニに頼りがちだ。外食や惣菜、弁当が多い場合、選び方によってはたんぱく質や緑黄色野菜が不足し、炭水化物や塩分、脂質が過剰になってしまう。たんぱく質が長期に不足すれば貧血や肌トラブル、便秘、疲れなどの不調につながる。麺類や菓子パン、おにぎりなども手軽に食べられるが、炭水化物中心になりやすい。こうした食事では、高血糖や妊娠糖尿病を招く要因になるため注意を。

「妊活女性が必要な栄養をとるためには、まず1日3回食事をとり、毎食主食・主菜・副菜をそろえることがポイント。不足しがちで、積極的にとりたいものとしては、魚、肉、卵、大豆製品などのたんぱく質や牛乳、チーズなどの乳製品、鉄分やカルシウム・ビタミンなどが多く含まれる小松菜やホウレンソウ、ブロッコリーなど色の濃い野菜、ミネラルや食物繊維の多い海藻、きのこ類です。1回の食事でたんぱく質は片手1つ分、野菜は生で両手一杯(加熱して片手1杯)分がとりたい目安量。意識して、いろいろな種類の食品を毎日、とってほしい」と鴨志田さん。

 “妊娠に特に重要なのに不足しがちな栄養素”を多く含む食材の代表として、鴨志田さんがすすめる「妊活女性の強い味方」となる食材は以下の8つ。これらの食材を積極的に食事に組み込むと栄養のバランス改善に役立つ。

「妊活女性の強い味方 8つの食材」
●鮭 (たんぱく質、ビタミンD)
●赤身肉(たんぱく質、鉄)
●納豆 (葉酸、食物繊維、たんぱく質、カルシウム)
●高野豆腐 (たんぱく質、鉄、カルシウム、食物繊維)
●小松菜 (鉄、カルシウム、食物繊維)
●ブロッコリー (葉酸、鉄)
●切干大根(カルシウム、食物繊維)
●まいたけ(ビタミンD、食物繊維)

 毎日食べるものがあなた自身の健康だけでなく、次世代の健康へと引き継がれていく。痩せすぎていないか、体重・体脂肪をチェックし、いつもの食事にたんぱく質や野菜をもうワンプラスしてみてほしい。

鴨志田純子さん
国立成育医療研究センター 栄養管理部 副栄養管理室長
鴨志田純子さん東京家政大学家政学部栄養学科卒業。国立病院機構埼玉病院、下志津病院、茨城東病院などを経て、2014年4月より現職。妊娠、出産に関係するトータルな健康状態のチェックを受けられるプレコンセプションケア(妊娠前ケア)で栄養カウンセリングを行なう。一児の母。

成育医療センターのプレコンセプション外来の食事相談では、個々の適正体重と必要栄養量、食生活アドバイスのほか、妊活女性に必要な栄養素がとれるレシピカードも配布している
成育医療センターのプレコンセプション外来の食事相談では、個々の適正体重と必要栄養量、食生活アドバイスのほか、妊活女性に必要な栄養素がとれるレシピカードも配布している

取材・文/茂木奈穂子 イラスト/永峰祐子 企画・構成/黒住紗織(日経BP総研 ヘルシー・マザリング・プロジェクト)

ヘルシー・マザリング・プロジェクトとは

 将来、赤ちゃんが欲しいと思っている人に、「転ばぬ先の杖」として知っておいてほしい大切な情報を伝え、若い女性の栄養問題など、現状の問題点を解決する方法を提案していくプロジェクトです。

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