妊活に重要な栄養その1

鉄は、貯蔵鉄(フェリチン)の量を意識して

 赤血球を作り、胎児に酸素や栄養などを運ぶために使われるため、妊活中に最も重要な栄養素の一つ。血液中のヘモグロビンは足りていても、妊娠・出産などいざという時に使うフェリチンと呼ばれる貯蔵鉄が不足している人が多いといわれているので要注意。鉄が不足していると、低出生体重児、未熟児、周産期死亡のリスクが高まります。レバーや牛モモ肉に含まれるヘム鉄に比べて、ほうれん草や納豆に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いですが、ヘム鉄はビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ることで吸収率を高めることができます。

妊活に重要な栄養 その2

たんぱく質は“食べ貯め”できない

 免疫力を高め、全身の細胞やホルモンの材料にもなる栄養素。佐藤医院のデータでは妊娠を考えている人の4割近くの女性がたんぱく質の摂取不足に陥っています。たんぱく質は常に使われているため食べ貯めはできないので、毎食「手のひら大」のかさを目安に肉・魚・卵・豆製品などを食べるようにしましょう。

妊活に重要な栄養その3

葉酸は妊娠する2~3カ月前から体に満たしておく

 赤ちゃんの健全な発育を助けるのに欠かせない栄養素。食事から妊娠時に必要な量を摂るのは難しいので、妊娠する2~3カ月前から、普段の食事に加えてサプリメントで400μg/日摂取することが厚生労働省からも薦められています。食品では、鶏レバーやほうれん草、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれます。光や熱により酸化しやすいため、できるだけ新鮮なものを選びましょう。また、水溶性なので野菜なら生で食べるか調理時間が短く済むレンジ調理、汁ごと食べるスープ料理などがおすすめです。

妊活に重要な栄養その4

ビタミンB6はつわりの軽減に

 エストロゲンの代謝に関わるので、PMSの症状緩和にも効果的。妊娠中のつわりや嘔吐はビタミンB6レベルの低下が原因とされ、母乳中のビタミンB6が少ないと、赤ちゃんの夜泣きやけいれん発作、無感動、落ち着きがなくなる原因にもなるといわれるほど、妊娠や育児にとって重要な栄養素。玄米、まぐろ、かつお、ニンニクなどに多く含まれます。

妊活に重要な栄養その5

亜鉛は男女ともに妊娠をサポート

 亜鉛不足の症状としては味覚障害やアレルギー性皮膚炎などが良く知られていますが、妊娠合併症のリスクも高まります。また、血液中の銅濃度が高く、亜鉛濃度が低くなると妊娠率が下がるという報告もあります。一方、精子の量や質とも関係している栄養素なので、男性も積極的に摂ってほしい栄養素で、牡蠣、牛肉、大豆、チーズなどの食品に多く含まれます。レモン汁や梅干しなどクエン酸と合わせて食べることで、腸での吸収率が高まります。

妊活に重要な栄養その6

ビタミンDは着床に関係。1日15分、日光浴を

 太陽光を浴びることで合成されるのですが、UV対策の高まりなどの影響で不足が問題視されるようになりました。不足すると、妊娠糖尿病や低出生体重児などのリスクが高まるほか、せっかく受精しても着床が悪くなるという報告も。まずは1日15分程度、両手の甲を日光浴してください。あわせて食品からの摂取も心掛けて。牛乳、干し椎茸、いわしなどの魚類に多く含まれます。脂溶性ビタミンなので、油での調理のほか、オイルサーディンなどを活用することも有用です。

 こんなに色々な栄養素を毎日の食事で揃えるのは大変……と感じた人がいるかもしれません。その場合は、葉酸に限らず、サプリメントの活用も考えてみてはいかがでしょうか。

 「生まれてくる赤ちゃんに、お母さんが最初にしてあげられることは、一刻も早く妊娠に気づいてあげること。そして、妊娠のために、産めるカラダづくり(プレコンセプションケア)を意識して行ってくださいね」と佐藤院長は締めくくりました。

取材・文/服部貴美子 撮影/桑島省(STUDIO Desse HORIE) 構成/黒住紗織=日経BP総研 ヘルシー・マザリング・プロジェクト

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 将来、赤ちゃんが欲しいと思っている人に、「転ばぬ先の杖」として知っておいてほしい大切な情報を伝え、若い女性の栄養問題など、現状の問題点を解決する方法を提案していくプロジェクトです。

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