ビタミンB群と亜鉛 たんぱく質積極摂取を
その結果わかったのは、肌の水分蒸散量が少なく角層のバリア機能が保たれている人は、炭水化物と野菜をしっかり食べていて、栄養素ではビタミンB₁の摂取量が多いことだった。
また、ビタミンB₁とビタミンAを含む食品の摂取量が多い人は、角質の水分量が多めで肌の潤いが保たれていた。逆に、肌のバリア機能が低い人は、揚げ物や炒め物など脂質の多い食事の頻度が高かった。
「これを食べれば美肌になるという食品はないが、1日3食、さまざまな食品をとることが健康な肌を作る。食事量を減らすとたんぱく質やビタミン・ミネラルの不足に直結するのでダイエットのし過ぎは美容の大敵」(永井さん)。
永井さんは、炭水化物摂取が多い人の肌のバリア機能が良好だったのは、米に含まれる植物性のセラミドの効果もあると推察する。
また、ビタミンB₁はエネルギー産生や皮膚や粘膜の機能維持に関わり、ビタミンAには皮膚の新陳代謝を促す酵素の量を調整する働きがある。ビタミンB₁が豊富なのは豚肉、うなぎなどで、うなぎはビタミンAも多い食品だ。
「ただし、ビタミンAの過剰摂取は肝機能障害などの原因になるので、レバーを毎日食べたりサプリで補充したりするのはお薦めしない。ブロッコリー、ニンジンなどカラフルな野菜からビタミンAの摂取を」(永井さん)。
また、「ターンオーバーを正常に保つには、細胞のもとになるたんぱく質やその合成を促すビタミンB₂とB₆、抗酸化作用のあるビタミンCを含む食品をとること。これらが不足すると、爪が弱くなり割れやすい。また、亜鉛不足の人は、毛髪が弱くなり抜けやすくなるので要注意」と髙瀬さんは強調する。
ビタミンB₂は大豆製品、牛乳、乳製品、卵、魚、ナッツ類などに豊富に含まれ、こうした食品を毎日の食事にとり入れている人はビタミンB₆も不足しにくい。また、亜鉛不足対策のためには魚介類や肉、卵を毎日とる必要がある。ダイエットで食事量が減ったり、肉や魚、卵を避けたりするとビタミンB群の不足や亜鉛欠乏に陥りやすいので要注意だ。