低体温の人は肌の角層の細胞面積が小さい

 永井さんの研究では、口腔内体温が36℃未満、あるいは、ストレスなども肌の状態と関連することがわかった。例えば体温が低い人は角層の細胞面積が有意に小さかった。これは肌の細胞の成熟度が低いことを意味する。

 「朝食欠食は低体温につながるので、健康な肌のためには朝食をとり、日常的に体を動かしてほしい。体温が36℃未満の人は、今より5000歩増を目指すことで代謝が高まり、肌の新陳代謝も良くなることが期待できる」と永井さん。

 コロナ禍で運動不足の今こそ、意識して体を動かし、食事のバランスや内容を見直して、美肌や美髪を取り戻そう。

※1 日本栄養・食糧学会誌;63,6,263-270,2010
※2 Am J Clin Nutr;77,2,348-355,Feb 2003

取材・文/福島安紀 イラスト/もり谷ゆみ 図版/三弓素青 構成/黒住紗織(日経BP総研 ヘルシー・マザリング・プロジェクト

髙瀬 聡子(あきこ)さん
ウォブクリニック中目黒 総院長
髙瀬 聡子(あきこ)さん 東京慈恵会医科大学卒業。2007年より現職。専門は皮膚科、美容皮膚科。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会正会員。著書に『ゆる美容事典「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』(講談社)など。
永井成美さん
兵庫県立大学 環境人間学部教授
永井成美さん 京都大学大学院人間・環境学研究科修了。岡山県立大学保健福祉学部准教授などを経て、2013年より現職。専門は栄養教育学、栄養生理学。若い女性の肌の状態と栄養素摂取、代謝、メンタルへの影響の研究も行う。