「やせたい」と食事制限などをし過ぎて、肌や髪、爪の調子が悪くなっていない? 少し前に食べた食事の栄養が、美容の状態に大きく影響します。
この記事は、「日経ヘルス」に2021年4月号に掲載された記事を転載したものです。

肌、髪、爪の状態は1カ月前の食生活を反映

 肌が乾燥する、抜け毛が激しい、爪が割れやすい――。こんな症状に心当たりがあったら、栄養が不足している可能性がある。

 「私たちの皮膚は28~56日かけてターンオーバーを繰り返し、乾燥や外敵の侵入などから体を守るバリア機能を維持している。そんな肌だけでなく髪、爪の状態にも1カ月前の食生活が如実に表れる。美容不調を訴える女性の多くが、過度のダイエットをしたり、パンと野菜ジュースだけといった偏った食事であることが多い」

 美容皮膚科医として女性たちの肌や毛髪、爪の治療などを行うウォブクリニック中目黒総院長の髙瀬聡子さんはこう指摘する。

栄養不足は肌のターンオーバーを悪化させる
栄養不足は肌のターンオーバーを悪化させる
表皮の基底層で作られた表皮細胞は角層まで押し上げられターンオーバーを繰り返す。「栄養不足などでこのサイクルが乱れると、角層の細胞のきめが乱れ、肌のバリア機能が低下する」(髙瀬さん)

 兵庫県立大学環境人間学部教授の永井成美さんらは、女子大生を対象に、顔の肌の状態と栄養素等の摂取状況などとの関連を見る研究(※1)を実施した。