腸内細菌叢を健康に保つ 第一選択は「食物繊維」

 自分の健康はもちろん、次世代にも伝わっていく腸内細菌叢を健やかに保ちたい。

 “腸活”といえば、ヨーグルトなどの発酵食品をとったり、食物繊維をとるなどの方法があるが、「腸内細菌叢を変える力が最も強い食品は、腸内有用菌のエサとなる食物繊維」と、腸内細菌叢を主軸に研究をする京都府立大学大学院生命環境科学研究科の井上亮さん。

 食物繊維は、人の消化酵素では消化吸収できず、小腸を経て大腸にまで到達する。食物繊維には、不溶性、水溶性の2タイプがある(下表)。「不溶性食物繊維は便の水分含量を高めてかさを増し、腸のぜん動運動を活発にしてお通じをよくする。一方、水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになり、短鎖脂肪酸という有用物質を生み出すもととなる」(井上さん)。

 エサを食べて腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)は、「人の代謝エネルギーになったり、腸管のバリア力を高めたりする。また、短鎖脂肪酸によって腸内の酸性度が高まることにより、有害物質を生み出す悪玉菌がすみにくい環境も作る」と井上さん。この短鎖脂肪酸を増やすことが、いい腸内細菌叢を作る条件の一つになる。