体調も生産性も「栄養」が左右する

細川モモさん<br>予防医療コンサルタント/一般社団法人ラブテリ代表理事/元 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー<br>両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、米国にて栄養疫学に出会う。米国認定資格を取得後、09年に日米の専門家を集めて母子健康増進プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。3才の女の子のママ
細川モモさん
予防医療コンサルタント/一般社団法人ラブテリ代表理事/元 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、米国にて栄養疫学に出会う。米国認定資格を取得後、09年に日米の専門家を集めて母子健康増進プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。3才の女の子のママ

 「たんぱく質ちょい足し」の職場検証を始める前に、まずは細川モモさんの栄養講義を実施しました。目的は、「なぜ、今の自分にたんぱく質が必要なのか?」を理解してもらうためです。

 女性の多くは、「疲れやすい」「冷え」「むくみ」「落ち込みやすい」といった不定愁訴を抱えています。「こういった体調不良が慢性化すると、仕事だけでなくプライベートにおいても生産性が下がります。睡眠不足・運動不足・栄養失調が続くと、血糖値に異常があらわれ、糖尿病や月経異常や不妊症のリスクが高まることも指摘されています」(細川さん)

 栄養失調と高血糖という課題を手っ取り早く改善する方法の一つが「朝ごはんを食べること」と細川さん。細川さんらの調査によると、朝食欠食率は全国平均で26%、東京や大阪などの大都市ほど高くなる傾向が。そこには、「朝食に割く時間がない」「残業で夜ご飯がおそいから空腹にならない」「胃もたれしている」などの働く女性らしい理由が並びます。

 しかし、「朝食には①血糖値の安定②体温を高める③体内時計をリセットする④充足が難しい栄養素を摂取するなど多くのメリットがあり、朝食の内容によっては午前中の脳の働きもよくなるため、生産性向上には欠かせない要素」と細川さん。特に③の体内時計のリセットは、「生産性」に大きく関わるといいます。

 「あまり知られていないのですが、個人差はあるものの、体内時計は24時間時計と10分近くズレていることがわかってきました。1週間にすると、約70分もズレが生じてしまう計算です。それを放置していると時差ボケが生じ、精神のアップダウンやうつ、やる気の低下などにつながります。体内時計のズレは生産性を下げる大きな要因の一つです」(細川さん)

働く女性は「朝食見直し」から始めよう

 体内時計を毎日リセットするのに効果的なのが、「朝ごはん=糖質+たんぱく質」だと細川さん。「実は、たんぱく質は3食の中で朝食が最も不足しているという調査があります。朝ごはんにたんぱく質をプラスすることで、体内時計の乱れを効果的にリセットできます」と細川さんは話します。

「お勧めの朝ごはんは、鮭おにぎり、納豆ご飯、ヨーグルトグラノーラ、鮭フレーク茶漬け、ツナトースト。頑張れるなら魚をメインにした和定食を摂るのが一番いいでしょう。野菜と果物のグリーンスムージーでは体内時計のリセット効果は弱め。グリースムージーを飲むなら、豆乳や高たんぱくのヨーグルトを加えるのがお勧めです」(細川さん)

 朝食だけでなく運動不足や睡眠不足の改善も、生産性向上の重要なファクターだということも学びました。

「これらを改善するには、まず意識を変えることから。忙しい皆さんが運動不足を改善するには、電車では座らずに立つ、エレベーターではなく階段を使うなどの日々のアクティブ度を上げるのが現実的。

 睡眠の質を上げるには、朝日をしっかり浴びて夜は間接照明で過ごし、朝晩の光の明暗リズムをはっきりさせましょう。光によって睡眠に関わるホルモン分泌が変化するためです。カフェイン飲料を1日2杯程度にとどめることもオススメします」(細川さん)

モモさんお勧め!<働く女性の健康を叶える、生活習慣のポイント>
・たんぱく質を含んだ朝ごはんを食べる
・階段を使う、通勤時に立つなど、意識して日中の活動量を上げる
・光を意識して、睡眠の質を上げる

受講した27人の朝食欠食率は39%。全国平均(26%)よりかなり高い結果で、自分たちの課題を認識させられた参加者。「ちゃんと考えなきゃ」「食事も運動も睡眠もやばい。私全部やばい!!」という悲痛な声が聞こえてきました……
受講した27人の朝食欠食率は39%。全国平均(26%)よりかなり高い結果で、自分たちの課題を認識させられた参加者。「ちゃんと考えなきゃ」「食事も運動も睡眠もやばい。私全部やばい!!」という悲痛な声が聞こえてきました……